M&Aによって事業や法人の譲受・譲渡を検討するにあたり、「手数料がどれくらいかかるのか」は最も気になる要素の一つではないでしょうか。
M&Aの仲介手数料は、名目・種類や算出方法などが少し複雑で、事業者によって考え方もさまざまです。「どの会社に相談すれば損をしないか」と迷われる方も多いでしょう。
この記事では、介護・障害福祉事業者のM&Aを念頭に、手数料の種類や名目と相場、計算方法のほか、比較ポイントについて解説します。
目次
- M&Aの仲介手数料の仕組みと相場の目安
- M&Aの仲介手数料の種類と内訳:支援内容と費用の関係
- 成功報酬の計算方法「レーマン方式」と「最低手数料」の仕組み
- M&A仲介事業者を手数料で比較・検討する際のポイント
- 着手金や中間金など初期費用の有無を確認する
- M&Aの費用を抑えるための補助金制度
- 【当社の強み】介護・障害福祉事業のM&Aサポート
- まとめ:まずは無料相談でシミュレーションを
M&Aの仲介手数料の仕組みと相場の目安
M&Aの仲介手数料は、売買の対象となる企業に関する調査・分析やマッチング、M&Aの各種手続きに必要な書類(契約書など)作成のサポート、企業や経営課題の実態に合わせたスキームの提案などといった仲介事業者が提供するサービス全般の対価です。
中小企業のM&Aの場合は、個人保証の処理や売り手・買い手間の折衝など、特有の調整業務も生じます。
取引金額の数%程度が一般的な手数料の目安とされていますが、仲介事業者や取引規模によって総額は大きく異なります。
近年は、M&Aのニーズ拡大に伴って、仲介手数料のわかりにくさが取り沙汰されることもあります。そこで国は、業界ガイドラインにおいて事業者に手数料の算定根拠や基準等を明示するよう求め、このような行動基準を遵守する仲介事業者をデータベース化してM&Aの健全な普及を図っています(「M&A支援機関登録制度」)。
このデータベースにアクセスすると、各登録事業者が定めている手数料の算定基準や最低手数料の金額、手数料が発生するタイミング等を確認できます。
M&Aの仲介手数料の種類と内訳:支援内容と費用の関係
仲介手数料は一般的に、M&Aの各プロセスに応じた名目が設定されています。
M&Aの各プロセスが進むごとに一定額を徴収する事業者もあれば、「完全成功報酬型」を採用している事業者もあります。
以下に、主な種類とその内容をご紹介します。
なお、「着手金」や「月額報酬」、「中間金」はそれぞれ、契約成立時に支払う「成功報酬」の内金として扱われるケースと、別途発生するケースがあります。
相談料
M&A仲介会社に正式な依頼をする前の初期相談にかかる費用です。
多くの仲介事業者が無料で受け付けています。
着手金
主にM&Aの依頼者が、本格的な業務を依頼するために仲介事業者と業務委託契約を締結する際に支払う手数料です。
一般的に、M&Aが最終的に成立しなかった場合でも返金されません。
月額報酬(リテーナーフィー)
仲介事業者との契約期間中に毎月支払う顧問料です。契約期間が長引くほど総額が膨らむため、成約までのスケジュール感の見通しを仲介事業者に確認することが重要です。
中間金(マイルストーンフィー)
基本合意締結時等、案件完了前の一定の時点や一定の成果が発生した際に発生する手数料です。
多くの場合、成功報酬の内金として扱われます。また、売り手と買い手で設定が異なるケースもあります。
成功報酬
主にクロージング時等の案件完了時に発生する手数料です。仲介手数料のうち最も金額が大きく、計算方法に複数の考え方があります。
成功報酬の計算方法「レーマン方式」と「最低手数料」の仕組み
レーマン方式の計算表と具体的なシミュレーション
M&Aの仲介手数料のうち大部分を占める成功報酬では、「レーマン方式」という計算方法が広く使われています。
レーマン方式とは、事業者が定める【基準額】をいくつかの階層(金額帯)に区切ったうえで算出する計算方法です。上の階層になるほど段階的に低い料率をかけ合わせていき、最後にそれらを合計して算出します。料率や区間の区切り方は事業者によって異なります。
| 取引価格等 | 手数料率等 |
|---|---|
| 0円超~2,000万円以下の部分 | 10% |
| 2,000万円~4,000万円以下の部分 | 9% |
| 4,000万円~6,000万円以下の部分 | 8% |
| 6,000万円~8,000万円以下の部分 | 7% |
| 8,000万円超~1億円以下の部分 | 6% |
| 1億円超~5億円以下の部分 | 5% |
| 5億円超~10億円以下の部分 | 4% |
| 10億円超~50億円以下の部分 | 3% |
| 50億円超~100億円以下の部分 | 2% |
| 100億円超 | 1% |
(【画像】カイポケM&Aで採用している手数料算出用のテーブル)
カイポケM&Aの場合は、レーマン方式で算出する金額とは別に、成約時に成約基本料100万円が発生します。
また、売り手か買い手かで適用条件が異なり、譲受企業(買い手)側には最低手数料500万円が適用されます。
以下のシミュレーションは、譲渡企業(売り手)側の計算例です。
| ①成約基本料 | 100万円 |
| ②2,000万円以下の部分 | 2,000万円 × 10% = 200万円 |
| ③2,000万円超~4,000万円以下の部分 | 1,300万円 × 9% = 117万円 |
| 仲介手数料合計 | ①+②+③ = 417万円 |
※いずれも税抜で記載
基準額(移動総資産額か譲渡金額か)によって手数料は変動する
手数料の算定にレーマン方式を採用している点は同じでも「何を基準額とするか」は仲介事業者によって異なり、比較ポイントの一つです。代表的な基準額は以下の通りです。
- 移動総資産(譲渡対価+負債総額)
- 企業価値(譲渡対価+有利子負債)
- オーナー受取額(譲渡対価+オーナー借入金等)
- 譲渡金額(譲渡対価のみ)
※「譲渡対価」とは、株式の売却額や事業の売却額を指します。
基準額の考え方が違うだけで、同じ取引でも手数料が大きく変わります。
株式価値(譲渡対価)5,000万円・負債総額5,000万円の会社を売却(株式譲渡)した場合の比較例です。
| 基準額の考え方 | 基準額 | 上述の計算テーブルを適用した金額(※最低金額適用部分は除外) |
|---|---|---|
| 譲渡金額(譲渡対価のみ) | 5,000万円 | ①2,000万円×10%=200万円 ②2,000万円×9%=180万円 ③1,000万円×8%=80万円 合計460万円 |
| 移動総資産(譲渡対価+負債総額) | 1億円 | ①2,000万円×10%=200万円 ②2,000万円×9%=180万円 ③2,000万円×8%=160万円 ④2,000万円×7%=140万円 ⑤2,000万円×6%=120万円 合計800万円 |
特に、不動産等の所有のために金融機関からの借入が必要となる法人を運営している場合は、基準額の考え方によって成功報酬の金額が大きく異なるため、取引を進める前の段階で確認することをおすすめします。
小規模取引で注意が必要な「最低手数料」の設定
レーマン方式で算出される金額のほかに、多くの仲介事業者は「最低手数料(最低報酬額)」を設定しています。
最低手数料が設定されている場合は、レーマン方式で計算した金額と最低手数料を比較し、金額が高い方が実際の請求額として適用されることになります。小規模な事業・法人の売買を検討する場合はこの点も頭に入れておくとよいでしょう。
以下のグラフは、先述の「M&A支援機関登録制度」に登録している仲介事業者の最低手数料の分布状況です。
(【画像】:中小企業庁「中小M&Aガイドライン」より)
大手事業者は取り扱う取引規模が大きいことから、最低手数料の設定も比較的高額になりがちです。
それに対して介護や医療、福祉等に特化した仲介事業者は、顧客の事業実態に合わせて最低手数料が100万円前後からと比較的低く設定されている傾向があります。
M&A仲介事業者を手数料で比較・検討する際のポイント
ここまでご紹介した通り、M&A仲介事業者を「手数料」という観点で比較・検討する際は、基本的な計算ルールだけでなく、以下の3つのポイントを総合的に確認することが効果的です。
- 着手金や中間金など初期費用の有無
- 支援形態(仲介型かFA型か)の違いによる費用差
- 自社の事業規模や業界(介護・障害福祉等)との相性
「万が一、M&Aが不成立に終わった場合の支払いを抑えたい」のか、それとも、「初期費用を確実に抑えたい」のかといった優先順位も検討しながら、各社の費用体系を把握しましょう。
着手金や中間金など初期費用の有無を確認する
着手金や月額報酬、中間金は、M&Aが成立しなかった場合でも一般的に返金されません。そのため、成立しなかった際の費用負担をできるだけ抑えたい場合は、「完全成功報酬型」の事業者を選ぶことがポイントになります。
仲介型とFA型の契約構造と手数料体系の違いを知る
ここまで主に仲介事業者を例に説明してきましたが、M&Aの支援形態には、売り手・買い手のどちらか一方のみと契約を結ぶ「FA(ファイナンシャルアドバイザー)型」もあります。「仲介型」の場合は、売り手・買い手双方と契約を結びます。
仲介型の主なメリットは各社独自のネットワークを持ち、双方の目的により適した引き合わせや円滑な調整が期待できることです。一方、FA型は自社の利益の最大化を目指せるというメリットがありますが、手数料を比較すると、一社のみと契約をする形態のFAの方が高額になりやすいという特徴があります。
自社の事業規模や業界に合った事業者を選ぶ
売買する金額が比較的小さい「スモールM&A」が多い介護・障害福祉事業者の場合は、大手の総合仲介事業者よりも、業界に特化した仲介事業者を選ぶのがおすすめです。
業界特化型の事業者は、買い手候補のネットワークをすでに持っている分早期でのマッチングが期待でき、余計なコストがかかりません。そのため、着手金や中間金が無料(完全成功報酬型)に設定されているケースも多く、初期費用のリスクを抑えてM&Aを進めることが可能です。
M&Aの費用を抑えるための補助金制度
手数料の負担を軽減する方法としては、国が実施している「事業承継・M&A補助金」の活用も選択肢になります。
この補助金には、「専門家活用」「事業承継促進」「廃業・再チャレンジ」「PMI推進」という4つの枠が設けられています(2026年6月現在)。
このうち「専門家活用」事業は、M&A仲介事業者に支払う仲介手数料やデューデリジェンス(企業調査)費用の一部に充てることができ、売り手と買い手どちらの立場でも使えます。ただし、補助金の給付を受けるには、契約事業者が「M&A支援機関登録制度」に登録している必要があります。
補助金の詳細や申請要件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください
【当社の強み】介護・障害福祉事業のM&Aサポート
業界特化ネットワークによる早期マッチングと適正評価
介護・医療・ヘルスケア業界を専門とする当社のネットワーク(全国15拠点、買い手候補60,800以上)を活かし、譲渡・譲受のご相談から候補企業様の探索、成約までの平均期間は3.2カ月、最短15日と業界最速クラスのマッチングを実現します。業界特有の価値を適正に評価し、最適なご縁を結びます。
明朗で業界最安水準の報酬体系
当社は、お客様に安心してご相談いただけるよう明朗な報酬体系を採用しています。初期の相談料や着手金は一切いただきません。
【譲渡企業様向け料金体系のご案内ページ】
※譲受(買収)をご検討の方につきましては、基本合意の締結時に中間金を申し受けております。
安心のM&A登録支援機関
株式会社エス・エム・エス(カイポケM&A)は、中小企業庁が創設した「M&A支援機関登録制度」の登録事業者です。国のガイドラインを遵守した適切なサポートを行うとともに、要件を満たせば前述の「事業承継・M&A補助金」を活用して手数料負担を抑えることも可能です。
まとめ:まずは無料相談でシミュレーションを
M&Aの仲介手数料や成功報酬は、取引規模や仲介事業者の方針によって大きく異なります。満足できる取引を終えるには、各費用の相場を把握し、複数の業者から説明を受けることが重要です。
手数料を比較する際は、自社の想定取引規模(売却額や負債額)、M&Aを完了させたいスピード、そして専門家による手厚いサポートが必要かといった方針を明確にした上で、複数社から見積もりを取ることが成功のポイントとなります。
コストを抑えるには、初期費用がかからない完全成功報酬型の仲介事業者を選ぶのも一案です。また、事業承継・M&A補助金のような公的支援制度をうまく活用することで、実質的な負担を大きく軽減できます。
事業を継続しながらこのような情報を正確に見極め、適切な判断を下すには専門的な知識が必要です。確かな知見を持つカイポケM&Aが支援します。
当社のM&A仲介手数料に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 相談や企業価値算定(シミュレーション)だけでも費用はかかりますか?
A.いいえ、ご相談や企業価値算定は無料です。安心してご相談ください。
なお、費用が発生するタイミングはご契約の立場によって異なります。
- 譲渡企業(売り手)様:M&A成約時のみ費用発生する完全成功報酬制
- 譲受企業(買い手)様: 基本合意締結時に中間金、M&A成約時に成功報酬が発生
Q2. M&Aが成約しなかった場合、費用はかかりますか?
A.譲受ご検討(買い手企業様)から頂戴する中間金については、万が一不成立となった場合でも、原則としてご返金はいたしかねます。
