介護事業の売却・買収を検討する上で、知っておくべき重要な専門用語をまとめました。
一般的な意味だけでなく、「介護・福祉業界ならではの注意点やポイント」も交えてわかりやすく解説しています。
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FA契約
M&A仲介会社に「私の会社の相手探しをお願いします」と正式に依頼する契約
M&Aの専門家(仲介会社やFA)に対し、相手企業の探索、交渉のサポート、資料作成などの業務を委託する契約です。業務範囲や手数料(着手金や成功報酬)の体系が記載されます。
いこうひょうめいしょ
「あなたの会社に興味があります」と買い手が示す、基本合意書の前段階に位置する非公式な意思表示の文書
トップ面談などを経て、買い手が売り手に対して「買収を前向きに検討したい」という意向を示す文書です。希望価格の概算や今後の進め方についての考えが記載されますが、法的拘束力はほぼなく、あくまで「本格的に話を進めませんか」という申し出の書面です。
いーびっとでぃーえー/償却前営業利益
「その事業が本業でどれだけ現金を稼ぐ力があるか」を示す指標。企業の売却価格を決める重要な基準
Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation, and Amortizationの略。 計算式は一般的に「営業利益 + 減価償却費」(有形固定資産の減価償却費「D」と無形資産の償却費「A」の合計)で算出されます。国ごとの金利や税率の影響、設備投資による減価償却の影響を排除して、企業の実質的な収益力を測るために使われます。
うんてんしきん/ワーキングキャピタル
事業を日々回すために必要な手元現金。M&A後に買い手が追加投入が必要かどうかを見極める指標
事業を継続するために必要な短期的な資金のことです。一般的に「流動資産 ー 流動負債」で計算されます。売掛金の回収と仕入・人件費の支払いタイミングのズレを埋めるために必要な資金です。
アーンアウトじょうこう/業績連動対価
「M&A後の業績が目標を達成したら、追加でお金を払います」という条件付きの対価設計
M&Aの対価の一部を、成約後の業績目標(売上や利益の達成など)に連動させる条項です。売り手は「成果を出せばさらに受け取れる」、買い手は「期待外れなら支払いを減らせる」というリスク分散の仕組みです。
企業概要書/IM
NDA締結後に買い手へ渡す「詳細な会社案内書」。事業の強みと課題のすべてがここに詰まっている
秘密保持契約(NDA)を結んだ買い手候補に対して提示する詳細な資料です。会社概要・財務情報・事業内容・人員体制・許認可の状況などが網羅されています。ノンネームシートが「求人票」だとすれば、IMは「詳細な募集要項」にあたります。
旧:実地指導
行政(都道府県や市区町村)が事業所に立ち入り、適切な運営ができているかチェックすること
指定権者が定期的に行う指導監査のことです(2022年度より名称変更)。人員基準や運営基準が守られているか、介護報酬の請求に誤りがないかを確認されます。不正や過誤が見つかれば、報酬の返還を命じられます。
契約書にハンコを押した後、実際にお金の決済を行い、経営権が正式に移る「実行日」のこと
最終契約(Signing)の後、数週間〜数ヶ月後に行われる決済手続きです。買い手からの入金(着金)確認、株券や会社実印の引き渡し、役員の変更登記申請などを同日に行い、M&A取引が完了します。
CF/資金の流れ
会社に「入ってくるお金」と「出ていくお金」の差額。利益とは異なる、事業の実際の体力を示す指標
一定期間における現金の流入と流出の差額のことです。損益計算書上の「利益」とは異なり、減価償却費などの影響を除いた実際の現金の動きを示します。「営業CF」「投資CF」「財務CF」の3つに分類されます。
LOI / MOU
最終契約の前に、「前向きに買収します」という意向と、「大まかな条件(価格やスケジュール)」を握る仮契約
Letter of Intent(意向表明書)の略。 トップ面談などを経て、買い手が買収への強い関心を示した段階で締結されます。売買価格の目安やスケジュールが記載されますが、法的拘束力を持たない部分(買収義務など)と、持つ部分(秘密保持や独占交渉権など)が混在しています。
かいごしょくいんとうしょぐうかいぜんかさん/とうごうかさん
2024年の介護報酬改定で3つの処遇改善加算が一本化された、介護職員の賃上げのための加算
2024年(令和6年)6月の介護報酬改定により「介護職員処遇改善加算」「介護職員等特定処遇改善加算」「介護職員等ベースアップ等支援加算」の3つが統合された加算です。加算区分はI〜IVに整理され、キャリアパス要件の充足度などによって算定できる区分が決まります。
かいごほうしゅうかいてい
3年に1度、国が決める「サービスの公定価格」の変更。M&Aのタイミングを左右するビッグイベント
社会情勢や事業者の経営実態に合わせて、介護サービスの単価(単位数)や算定要件を見直すことです。原則3年に1度行われます(障害福祉は別タイミング)。
かいごろうじんほけんしせつ/ろうけん
病院退院後の高齢者が在宅復帰を目指してリハビリを行う中間施設。医療法人の運営が多くM&Aに独自の制約がある
病院から退院した要介護者が在宅生活への復帰を目指してリハビリを受ける施設です。医師の常駐が義務付けられており医療的ケアを伴うリハビリを提供します。設置主体として医療法人が多くを占めます。
かいしゃぶんかつ
会社の一部の事業を別の会社(または新しく作った会社)に切り出して移転する組織再編の手法
会社の事業の全部または一部を、他の会社(吸収分割)または新設した会社(新設分割)に承継させる組織再編行為です。事業譲渡と似ていますが、会社法上の手続きを使うため権利義務が包括的に移転する(個別の同意なしに契約を引き継げる)点が異なります。
かどうりつ
定員に対して実際に何人使っているかの割合。事業所の収益力と価値を直接決める最重要指標
事業所の定員(または計画利用者数)に対して、実際のサービス利用者数の割合のことです。例えば定員20名のデイサービスで平均17名が利用していれば稼働率は85%となります。
かぶしきかち/エクイティバリュー
売り手(株主)が実際に手にする金額の基準。企業価値から有利子負債を差し引いたもの
企業価値(EV)から有利子負債(銀行借入など)を差し引き、現預金を加えた値です。株主に帰属する価値であり、株式譲渡の場合はこの金額が売却価格(譲渡対価)の基準となります。
かぶしきじょうと
会社のオーナー権(株式)をそのまま買い手に渡し、会社を丸ごと引き継いでもらう最も一般的なM&A手法
売り手(株主)が保有する株式を買い手に譲渡し、対価として現金を受け取る手法です。会社という「箱」ごとの移動になるため、従業員の雇用契約や取引先との契約関係は、原則としてそのまま引き継がれます。
かぶぬしめいぼ
「誰がいくつ株を持っているか」を記録した会社の公式リスト。株式譲渡では必ず確認と書換えが必要
株式会社が作成・保管する、株主の氏名・住所・保有株式数などを記録した帳簿です。株式譲渡が成立した後、買い手への名義書換(株主名簿の記載変更)が必要であり、この書換えが完了して初めて買い手が正式な株主となります。
きぎょうかち/エンタープライズバリュー
「この会社全体を取得するといくらかかるか」を示す、M&Aの基準となる総合的な価値指標
Enterprise Value(エンタープライズ・バリュー)の略。会社の事業全体の価値を表します。計算式は「株式価値 + 有利子負債 ー 現預金」が一般的です。株主だけでなく債権者(銀行など)も含めた「会社全体の価値」を示す指標です。
きょうぎょうひしぎむ
会社を売った後、近くで同じビジネス(ライバル店)を始めないという約束
M&Aで事業を売却した売り手(譲渡人)が、その後一定期間、同一または隣接する地域で、同じ事業を行ってはならないという義務です。会社法でも規定されていますが、契約書でより具体的に(例:同一都道府県内で3〜5年間など)定めることが一般的です。
きょたくかいごしえんじぎょうしょ/ケアマネ事業所
ケアマネジャーが働く事業所。単体では収益性が低いが、他サービスとの連携で強力な集客機能を持つ
ケアマネジャーが配置され、居宅の要介護・要支援者のケアプラン作成やサービス調整を行う事業所です。介護報酬は「居宅介護支援費」として支払われますが、単価が低くスタッフの人件費を考えると単体での収益性は低いことが多いです。
げんざん/報酬減算
人員基準や運営基準を違反している事業所に課される「報酬カット」のペナルティ。M&A価値を大きく下げる要因
介護報酬の算定において、人員配置基準や運営基準を満たしていない場合に本来の報酬単価から一定割合が差し引かれる仕組みです。例えば人員基準を満たさない「人員欠如減算」では報酬が30%減算されるケースもあります。
こくほれん/国保連
介護報酬の請求を受け付けて審査・支払いを行う都道府県の公的団体。事業所にとっての「給与支払い元」
都道府県ごとに設置されている公的団体です。介護事業所から毎月10日までに送られてくるレセプト(請求データ)を審査し、問題がなければ翌月25日前後に介護報酬を支払います。
にんちしょうたいおうがたきょうどうせいかつかいご
認知症の方が少人数(5〜9人)で共同生活する施設。地域密着型のためM&Aには市区町村の関与が必要
認知症の要介護高齢者が共同生活住居(ユニット)で日常生活を送りながら介護を受けるサービスです。1ユニット5〜9人の小規模な共同生活が基本で、地域密着型サービスに分類されます。
ケアマネ/かいごしえんせんもんいん
利用者のケアプランを作り、介護事業所へ利用者を橋渡しする「要」。のれん代の源泉であり、M&Aの安定性を左右する存在
介護保険の要介護・要支援認定を受けた方が適切なサービスを受けられるよう、ケアプラン(介護サービス計画書)を作成し、各事業所との連絡・調整を行う専門職です。居宅介護支援事業所に所属するか、施設に配置されています。
個人保証
会社が銀行からお金を借りる際、社長個人が連帯保証人になっていること。M&Aでこれを外すことができる
中小企業が融資を受ける際、経営者個人が返済を保証する慣行のことです。会社が倒産した場合、経営者個人が私財を投じて返済しなければならず、経営者にとって大きな精神的重圧(および事業承継の足かせ)となります。
DA
M&Aの全ての条件を確定させ、法的拘束力を持たせた「本契約書」。これにハンコを押すと後戻りできない
Definitive Agreementの略。 基本合意書やデューデリジェンス(調査)の結果を踏まえ、最終的な譲渡価格、従業員の処遇、表明保証、補償条項などを詳細に定めた契約書です。
M&Aスキーム
M&Aを「どんなやり方(手法)」で実現するか、という枠組みのこと
株式譲渡、事業譲渡、会社分割、合併など、M&Aを実行するための具体的な手法の総称です。税金、手続きの手間、リスクの遮断などの観点から最適なものを選びます。
していしんせい/許認可承継
介護事業を行うために都道府県や市区町村から「指定(許可)」をもらう手続き。M&Aの成否を分ける重要ポイント
介護保険法や障害者総合支援法に基づき、事業者がサービスを提供して報酬を得るために必要な行政上の手続きです。法人格ごとに付与されます。
しゃかいふくしほうじん
公共性が高い「非営利法人」。株式会社とは全く違うルールでM&A(経営権の移行)が行われる
社会福祉事業を行うことを目的として設立される法人。税制優遇がある一方で、行政の監督が厳しく、利益の分配(配当)が禁止されています。
しゅうせいじゅんしさんほう
決算書の数字をうのみにせず、「今すぐ換金したらいくらになるか」で資産を再計算する方法
コストアプローチ(ネットアセット・アプローチ)の一つ。帳簿上の資産・負債を時価(現在の価値)に修正して、企業価値(株価)を算出します。不動産の含み益や、回収不能な売掛金などを調整します。
しゅうろうけいぞくしえん/A型・B型
障害のある方が企業での就労が難しい場合に就労機会を提供するサービス。A型とB型で経営の仕組みと収益構造が大きく異なる
一般就労が困難な障害者に就労機会を提供するサービスです。「A型(雇用型)」は利用者と雇用契約を結び最低賃金を保証し、「B型(非雇用型)」は雇用契約なしで工賃を支払います。いずれも障害者総合支援法に基づきます。
しょぐうかいぜんかさん
介護職員の賃金向上のために支給される加算。M&A時の給与引き継ぎにおける最重要チェック項目
介護職員の賃金改善やキャリアパスの整備を行っている事業所に対して、介護報酬を上乗せして支給する制度です。加算区分(I~IVなど)によって支給額が異なり、全額を職員の賃金改善に充てる必要があります。
しんぞくないしょうけい
社長の座を息子・娘・配偶者など家族に引き継ぐ、最も伝統的な事業承継の形
現オーナー経営者が、子供や配偶者などの親族(家族)に会社の経営権と株式を承継する方法です。日本の中小企業における事業承継の伝統的な形ですが、後継者候補が「継ぐ意思・能力・資金」を持っているかが課題となります。
じぎょうしょうけいぜいせい
株式を後継者へ贈与・相続する際の税金(最大100%)を猶予・免除できる国の制度。
中小企業の円滑な事業承継を促すため、後継者が先代から株式を相続・贈与によって取得した場合にかかる相続税・贈与税の納税を猶予(一定要件を満たす限り免除)する制度です。「一般措置」と「特例措置(2027年3月末までに計画提出が必要)」があります。
じぎょうしょうけい・ひきつぎしえんせんたー
都道府県ごとに設置されている、国が運営する事業承継の無料相談窓口。まず話を聞きたい方の入口として活用できる
中小企業庁が全国の都道府県に設置している、中小企業の事業承継・M&Aを支援する公的機関です。民間のM&A仲介会社と異なり、手数料が原則無料で中立的な立場からM&Aのマッチング支援も行います
じぎょうしょきぼくぶん
「利用者が多い大きな施設ほど、報酬単価を安くしますよ」というルールのこと
通所介護(デイサービス)において、前年度の平均利用者数に応じて「小規模」「通常規模型」「大規模型(Ⅰ・Ⅱ)」に区分され、規模が大きくなるほど基本報酬単価が低く設定される仕組みです。
じぎょうじょうと
会社そのものではなく、特定の事業(デイサービス部門や訪問介護部門など)や資産を選んで売買する手法
会社全体(株式)を売り買いする「株式譲渡」とは異なり、事業の一部または全部を切り出して譲渡するM&Aの手法です。売り手は不採算部門を切り離したり、現金化したい事業だけを手放すことができます。買い手は必要な資産や人材だけを引き継げるため、簿外債務(隠れ借金)を引き継ぐリスクを遮断できるメリットがあります。
じゅうぎょういんしょうけい
外部に売るのではなく、信頼できる社内のスタッフに社長の座を譲ること
親族への承継、第三者へのM&Aと並ぶ、事業承継の選択肢の一つ。長年働いてきた役員や管理者に経営権を譲ります。企業文化を引き継ぎやすいメリットがあります。
じゅんしさん/自己資本
会社の「本当の持ち分」。総資産から全ての借金を差し引いた、株主に帰属する財産
貸借対照表(B/S)において、総資産から総負債(借入金・買掛金など全ての負債)を差し引いた残額のことです。「自己資本」とも呼ばれ、会社が解散した場合に株主に分配される理論上の金額を示します。
じんいんはいちきじゅん
「利用者●人に対してスタッフが●人必要」という法律上のルールのこと。M&Aの価値評価に直結する
介護サービスの種類ごとに定められた、最低限配置しなければならない職員の人数や資格の要件です。これを満たさないと「人員欠如減算(報酬カット)」や「行政処分」の対象となります。
そうりょうきせい
「もうこの地域には新しい施設を作ってはいけません」という自治体の制限ルール
介護保険事業計画に基づき、自治体が特定のサービス(地域の施設数)が充足していると判断した場合、新規の指定申請を受け付けない(制限する)仕組みのことです。
サビ管/児発管
障害福祉サービスにおいて、絶対に欠かすことのできない「資格を持った現場の要(かなめ)」
「サービス管理責任者(就労支援やグループホーム等)」や「児童発達支援管理責任者(放課後等デイサービス等)」の略称。利用者の個別支援計画を作成する必須配置の職種です。
相乗効果
「1 + 1 が 2以上になる」こと。買い手がM&Aをする本当の理由
複数の企業が統合することで、単独で事業を行うよりも大きな成果を生み出す効果のこと。「売上シナジー(販路拡大など)」と「コストシナジー(仕入れ共通化など)」があります。
COC条項
「経営者が変わったら、契約を解除できる(または再交渉が必要)」という、契約書上の取り決めのこと
取引先との契約書の中に、「株主や経営権の変更があった場合、相手方は契約を解除できる」あるいは「事前の承諾が必要」と定めた条項のことです。M&Aの障害になることがあります。
だいさんしゃしょうけい
親族や社内の従業員ではなく、外部の第三者(他社や個人)に事業を引き継ぐこと。いわゆるM&Aのこと
事業承継には「親族内承継」「従業員承継」「第三者承継(M&A)」の3つのパターンがあります。後継者不在の問題解決策として、近年急速に増えているのがこの第三者承継です。
ちいきみっちゃくがたサービス
市区町村が指定・管理する小規模なサービス類型。市外の法人への譲渡が原則不可という、M&A特有の制約がある
介護保険法に基づき、市区町村が指定・監督権限を持つサービス類型です。認知症対応型共同生活介護(グループホーム)・小規模多機能型居宅介護・定期巡回型訪問介護など、住み慣れた地域での生活継続を支援するサービスが含まれます。
ちゅうしょうエムアンドエーガイドライン
国が定めた、M&A仲介業者が守るべきルールと中小企業オーナーが知っておくべき知識をまとめた公式指針
2020年に中小企業庁が策定した、中小M&Aの適正化・普及を目的としたガイドラインです。M&A専門業者が遵守すべき行動規範(手数料の明示・情報管理など)と、売り手・買い手が知っておくべき基本知識が網羅されています。2023年には改訂版が公表されました。
ていかん
会社のルールブック。株式の譲渡制限やチェンジオブコントロールに関する規定がここに書かれている
会社の目的・組織・運営に関する基本的なルールを定めた文書で、会社設立時に作成します。株式の発行・譲渡に関するルール、役員の選任方法なども記載されており、法的な最高規範となります。
とくていじぎょうしょかさん
「質の高いサービス・体制」を持つ事業所だけに認められる、高単価なボーナス加算
訪問介護や居宅介護支援などで、人材育成や重度者対応など厳しい要件を満たした事業所が算定できる加算です。取得区分により、売上が10%〜20%近く変わります。
とくようごろうじんほーむ/とくよう
重度の要介護者が入居する公的な施設。ほぼ全てが社会福祉法人の運営のため、M&Aは特別な手続きが必要
常時介護が必要な要介護3以上の高齢者が入居する公的な介護施設です。正式名称は「介護老人福祉施設」。原則として社会福祉法人のみが開設でき、入居費用が比較的低廉なため常に待機者が多く安定した稼働率が見込めます。
とっぷめんだん
売り手と買い手の経営者が初めて顔を合わせる直接交渉の場。M&Aの成否を左右する重要な場面
ノンネームシートやIM(企業概要書)を通じて買い手候補が絞り込まれた後、売り手・買い手双方の代表者(社長同士)が直接面会し、事業内容や売却・買収の意図・条件について話し合う場です。この段階で初めて相手の「顔」と「熱意」が見え、基本合意書締結へと進むか否かが決まります。
どくせんこうしょうけん
「一定期間、あなた(特定の買い手)としか交渉しません」という約束
基本合意書(LOI)の中で定められる権利です。買い手は、これから時間とお金をかけてデューデリジェンス(詳細調査)を行うため、「調査中に他の人に横取りされたくない」という理由でこの権利を求めます。
ディーシーエフほう/ディスカウントキャッシュフロー法
「将来稼ぐお金を現在の価値に換算して会社の値段を出す」評価手法。大企業のM&Aで多く使われる
Discounted Cash Flow法の略。将来のフリーキャッシュフロー(事業が生み出す現金)を予測し、適切な割引率で現在価値に換算して企業価値を算出する手法です。将来の成長性を価格に反映できる反面、予測の前提次第で結果が大きく変わる特徴があります。
買収監査/DD
買い手が売り手の企業内容を詳しく調査すること。「買収監査」とも呼ばれる
M&Aの最終契約を結ぶ前に、買い手側が専門家(会計士や弁護士など)に依頼して行う詳細な調査です。財務面、法務面、ビジネス面などからリスクがないか、提示された価格が適正かをチェックします。
M&Aの検討が進んだ段階で、匿名だった会社名を買い手候補に明かすこと
最初は企業名を伏せた「ノンネームシート」で検討を進めますが、買い手がさらに詳しい情報の開示を希望し、秘密保持契約(NDA)を結んだ後に、初めて具体的な社名や詳細資料を開示することを指します。
ねんばいほう
「資産 + 利益の数年分」で会社の値段を決める、中小企業M&Aで最もポピュラーな計算ルール
企業価値評価(バリュエーション)の手法の一つ。 「時価純資産 + (営業利益 × 1〜3年分)」というシンプルな計算式で算出します。複雑な計算式(DCF法など)よりも分かりやすく納得感があるため、小規模M&Aの現場でよく使われます。
ティーザー
会社名を伏せた状態で作られる、買い手向けの「求人票」のような案件概要書
M&A仲介会社が買い手候補を探す際、最初に提示する資料です。「関東エリア・デイサービス・売上1億円」といった匿名情報(ノンネーム情報)のみが記載され、特定されない範囲で事業の魅力がまとめられています。
営業権
目に見えないブランド価値や将来の収益力。純資産(資産-負債)に上乗せされる「プラスアルファ」の価格
買収価格と、売り手企業の純資産額との差額のことです。技術力、ブランド力、顧客リスト、ノウハウなどの「無形資産」が価値として評価され、金額に反映されます。
大手チェーンの看板を借りて運営している店舗。勝手に売ることができず、本部の承諾が必要
本部(フランチャイザー)と加盟店(フランチャイジー)が契約を結び、商標の使用権やノウハウの提供を受けるビジネスモデルです。デイサービスや訪問マッサージなどで多く見られます。
FA/財務アドバイザー
売り手(または買い手)の「専属代理人」として一方の利益だけを追求するM&Aの専門家。仲介会社とは立場が根本的に異なる
M&Aにおいて、売り手または買い手の一方だけと契約しその利益を最大化するために動く専門家のことです。双方と契約して橋渡しを行う「仲介型」とは異なり、FAは片側の立場に立って交渉します。銀行系や独立系のM&A会社がFAとして機能するケースが多いです。
NDA / CA
「これから見せる情報を、許可なく他人に漏らしません」と約束する契約。M&Aの入り口で必ず結ぶ
Non-Disclosure Agreement(またはConfidentiality Agreement)の略。 M&Aの検討を進めるにあたり、売り手と買い手が相互に内部情報(財務データや顧客情報など)を開示する前に締結します。違反して情報を漏洩させた場合の損害賠償責任などが定められます。
はいぎょう
事業をやめて会社を閉じること。M&Aと並ぶ選択肢だが、利用者・スタッフ・オーナーへの影響が大きい
事業活動を停止し、会社・事業所を閉鎖することです。自主廃業の場合、資産を売却して負債を返済し、残余財産を株主に分配する「清算手続き」を経て法人格が消滅します。
はいしとどけ
事業譲渡のM&Aで売り手が行政に提出する「この事業所を閉じます」という届出。指定申請とセットで使われる
介護・障害福祉事業所の指定を返上する際に指定権者(都道府県・市区町村)に提出する行政手続きです。事業譲渡によるM&Aでは売り手がいったん廃止届を提出し、買い手が新たに指定申請を行うことで事業所の経営権が移転します。
ひょうめいほしょう
売り手が買い手に対し、「決算書や説明内容に嘘や隠し事はありません」と契約書で約束すること
最終契約書(DA)において、売り手が財務内容、法務状況、資産の実在性などが「真実かつ正確である」と保証する条項です。もし売却後に嘘が発覚した場合(表明保証違反)、買い手は損害賠償を請求できます。
へんれい
請求ミスや記載不備などで国保連から介護報酬の請求が「受け付けられず戻ってくる」こと
介護給付費の請求(レセプト)において、記載内容の誤りや資格要件の不備などにより、国民健康保険団体連合会(国保連)から請求が差し戻されることです。返戻された請求は修正の上で再請求する必要があり、入金が遅れます。「過誤」(誤って支払われた後に取り消す手続き)とは異なります。
ほうかごとうデイサービス/放デイ
障害のある子供が学校の放課後や長期休暇に通う療育・支援サービス。近年M&A案件が急増している
学校就学中の障害児(6〜18歳)が放課後や学校の長期休業日に通所する支援サービスです。療育・生活能力向上・居場所の提供などを目的とし、利用ニーズが高く事業所数も急増しています。児童福祉法に基づいています。
ぼがいさいむ
決算書(貸借対照表)には載っていないが、将来支払うことになるかもしれない「隠れた借金」
帳簿上は認識されていない負債のことです。未払いの残業代、退職給付引当金の不足分、訴訟リスクによる賠償金などが該当します。M&A後にこれらが発覚するとトラブルの原因となります。
ピーエムアイ/統合プロセス
M&Aが成立した後に行う、経営や業務の「統合・引き継ぎ」作業のこと。M&Aの成功はこれで決まる
Post Merger Integrationの略。 成約後に、異なる企業文化を持つ2社が、経営理念、業務フロー、システム、人事制度などを統合していくプロセスのことです。この期間のマネジメントに失敗すると、期待したシナジー効果が得られません。
介護報酬ファクタリング
請求済みの介護報酬(売掛金)を、入金日より早く現金化する資金調達サービス
国保連からの介護報酬入金(通常サービス提供の2ヶ月後)を待たずに、ファクタリング会社に債権を譲渡し、手数料を引いた現金を早期に受け取る仕組みです。
ばいりつほう
「同業他社と比べて何倍の価値か」で会社の値段を決める評価手法。EBITDAと掛け合わせて使う
類似する上場企業や取引事例の財務指標に対する企業価値の倍率(マルチプル)を参考に、対象企業の価値を算出する手法です。「EV/EBITDAマルチプル」が代表的で、同業の倍率が「5倍」であれば自社のEBITDAに5を掛けて企業価値を算出します。
ゆうりしふさい
利息を払って借りているお金の合計。企業価値から株式価値(手取り額)を算出する際に差し引かれる重要な数字
銀行からの借入金(短期・長期)・社債など、利息の支払いが伴う負債の総称です。買掛金や未払金などの「無利子の負債」とは区別されます。企業価値(EV)から有利子負債を差し引くことで、株主に帰属する「株式価値」が算出されます。
ゆうりょうろうじんほーむ/とくていしせつ
入居一時金などの自費負担がある民間の老人ホーム。不動産価値が絡むためM&Aの評価が他の介護事業所と異なる
入居者に食事・介護・生活援助などを提供する民間施設です。介護保険の「特定施設入居者生活介護」の指定を取得している場合は介護報酬も受け取れます。入居一時金や月額利用料が高額なものから低額なものまで幅広く存在します。
M&A仲介会社に支払う「成功報酬」の一般的な計算ルールのこと。取引金額が大きいほど手数料率が低くなる仕組み
取引金額に応じて、以下の料率を掛けて算出する計算式のことです。(伝統的なレーマン方式の例)
1億円以下の部分:5%
1億円超〜2億円以下の部分:4%
2億円超〜3億円以下の部分:3%
3億円超〜4億円以下の部分:2%
4億円超の部分:1%
(以下、金額が上がるごとに料率が下がる)
ただし、実際には多くの仲介会社が独自の「修正版レーマン方式」を採用しており、料率の区分が異なることがあります。また、多くの仲介会社ではこれとは別に「最低報酬額(例:100万円〜2000万円)」を設定しています。
会社を売った後も、一定期間は社長や管理者がそのまま会社に残って経営を手伝う義務のこと
M&A成立直後の経営混乱を防ぐため、売り手の元オーナー(経営者)が、一定期間(数ヶ月〜数年)、役員や顧問として会社に留まることを契約で義務付ける条項です。
介護給付費明細書
毎月10日までに国保連(国民健康保険団体連合会)へ送る「請求書」。事業所の売上の証拠となる最重要データ
事業者が国民健康保険団体連合会(国保連)に対して、介護報酬を請求するために作成する明細データのことです。
用語集をご覧になって、
「自社の場合はどうなる?」
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