廃業
訪問介護事業所を経営している皆様は、介護報酬改定や新型コロナウイルス感染症のまん延、地域のニーズの変化、人材不足等から事業所を廃業することを考えていませんか?
訪問介護事業所は、比較的小さい規模で運営されていることが多く、介護報酬改定や市場・地域などの環境変化が起こると経営に深刻な影響が出ます。収益悪化、資金不足、将来性の不安などから廃業を検討する訪問介護事業所は多いでしょう。
この記事では、訪問介護事業所を廃業する前に経営者が取るべき行動と廃業の流れについて説明しますので、訪問介護事業所を経営している方は、ぜひご一読ください。
東京商工リサーチによると、老人福祉・介護事業の倒産件数は、数年間、横ばい傾向にありましたが、直近の2022年に過去最多を更新しました。
ここでは、どれくらいの事業所が倒産しているか、廃業する原因は何なのかをご紹介します。
東京商工リサーチによると、2022年の老人福祉・介護事業の倒産件数は143件で過去最多となっています。
業種別の廃業件数の内訳として、通所・短期入所介護事業が69件で最も多く、続いて「訪問介護事業が50件」となっています。
2022年は、複数の通所・短期入所介護事業を運営していた法人の倒産が影響し、件数が急激に増えていますが、直近数年間をみても「訪問介護の廃業件数はとても多い」ことがわかります。
訪問介護事業所が赤字になり、廃業・閉鎖する原因として、介護報酬改定の影響と人手不足が挙げられます。
訪問介護事業所は、国が報酬の単価を決め、社会情勢等に合わせて3年ごとに見直しが行われています。この見直しの方針や改定の内容によっては、事業所運営が難しくなることがあります。
また、訪問介護におけるホームヘルパーの人手不足は深刻な問題となっています。人手不足を解決するために、給料を上げ、人件費の総額や人件費率が上昇し、その結果、経営が苦しくなるケースが多いようです。
訪問介護事業所の廃業を考えたときに、法人・事業を売却するという選択肢がありますので、ここでは法人・事業の売却(M&A)について説明します。
M&Aとは、企業の合併及び買収のことです。経営が厳しい状況になった場合、廃業する以外にも事業譲渡という選択肢があります。
事業譲渡することで、従業員の雇用を継続できること、ご利用者へのサービス提供が継続できること、廃業するよりも費用負担が少なくなる可能性があることなどのメリットがあります。
1.仲介業者に相談
2.自社の情報を整理して、資料を作成する
3.仲介業者が買収企業をマッチング
4.売却企業と買収企業の面談、方向性確認
5.デューデリジェンス
6.最終契約
7.関係者への説明
8.クロージング
M&Aの仲介業者は実績や会社の規模などから信頼できる企業を選ぶことが重要です。仲介業者を選定したら、M&Aについて希望の条件等を相談します。
希望の条件を含めて、自社の情報を整理して、売却先に提示する資料を作成します。
仲介業者は、資料をもとに買収企業を探し、打診します。
売却企業と買収企業で面談を行い、基本合意をします。
買収企業が売却企業の企業価値を調査します。
売却企業と買収企業で最終売買条件の調整を行い、最終契約を締結します。
ご利用者、従業員などの関係者に、事業譲渡をすることを伝えます。
売却企業の経営権が買収企業に移り、必要な手続きが完了となります。
訪問介護事業所を廃業することになった場合は、様々な対応が必要になります。
1.都道府県等へ相談
2.従業員・関係機関へ報告
3.ご利用者・ご家族へ報告
4.ご利用者のサービスの利用の調整
5.都道府県等へ書類提出
6.従業員の対応
7.事業所の廃業・閉鎖
訪問介護事業所を廃業する時には、都道府県等(指定権者)へ廃業の届出を提出しなくてはいけません。
具体的な廃止の日程やご利用者への対応などを確認する必要がありますので、廃業することを決めた段階で、一度、都道府県等に相談するのが良いでしょう。
廃業の日程が決まったら、従業員と、取引がある地域包括支援センターや居宅介護支援事業所、その他の介護サービス事業所などの関係機関へ連絡・報告をします。
廃業の日程が決まったら、ご利用者やそのご家族にも連絡・報告をします。
事業所からサービスを提供できなくなるので、ケアマネジャーと連携し、別の事業所の紹介等の調整を行います。
都道府県等へ訪問介護事業所の「廃止・休止届出書」を提出します。
添付書類や提出期限は都道府県等によって異なる場合がありますので、事業所の指定権者のホームページを確認しましょう。
従業員の方々にはそれぞれの生活があるので、事業所の廃止後の異動・離職・再就職等について準備やサポートが必要になります。
このような流れで、訪問介護事業所を廃業・閉鎖することになります。
訪問介護事業所の経営は全国的に厳しい状況にあると言えます。
他の事業を行っている場合は、経営の効率化、選択と集中のために、事業の廃止を検討することもあるでしょう。
そのような状況になった時には、M&Aという選択肢もありますので、ぜひM&Aの専門家に一度相談してみましょう。
特に訪問介護事業所は、廃業・閉鎖によるご利用者への影響が気にかかると思います。
この問題を解決するためにもM&Aは有効な手段となるでしょう。
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