有料老人ホームは「介護付」「住宅型」「健康型」の3種類に分類され、入居する高齢者にさまざまなサービスを提供しています。
サービス付き高齢者向け住宅や介護保険法に基づく介護施設など、高齢者が生活を営む施設は、急速に進む高齢化を背景に整備が加速しています。
一方で、後継者・人材不足の深刻化、特に夜勤対応や重度者ケアを担う職員の確保が難しくなっており、建物の老朽化・設備更新の負担、物価・人件費・光熱費の上昇が収益を圧迫するなど、単独での事業継続に不安を抱えている経営者も決して少なくありません。
介護事業のM&A事例は数多く存在しますが、「具体的にどう進めればよいかわからない」という声もよく聞かれます。
本記事では、住宅型有料老人ホームのM&Aについて、流れや留意点、価格相場、事例まで詳しく解説します。
住宅型有料老人ホームとは?
住宅型有料老人ホームは、入居している高齢者に対して食事・洗濯・掃除などの家事支援や健康管理サービスを提供する施設です。 収入の柱は家賃・生活支援サービス料・食事料金などとなります。
最大の特徴は、施設が直接介護サービスを提供しない点です。介護が必要な入居者は、訪問介護やデイサービスなど外部の介護事業所を利用しながら生活を送ります。
M&A(事業譲渡・事業売却)とは?
M&Aとは「Mergers(合併)and Acquisitions(買収)」の略称です。
日本では広く、会社法が定める組織再編(合併や会社分割)だけでなく、株式譲渡や事業譲渡を含む、様々な手法による事業の引継ぎ(譲り渡し・譲り受け)を指す言葉として使われています 。
事業拡大や集中、承継を目的に、M&Aを積極的に活用する企業は増加しており、日本国内における件数も右肩上がりで推移しています。
有料老人ホームのM&A(事業譲渡・事業売却)の流れ
有料老人ホームのM&Aは、一般的に以下のステップで進みます。
①専門家への相談
まず、M&Aの専門家へ相談することをおすすめします。何を準備すべきか、どのような流れで進むか、どれくらいの期間がかかるかを把握することができます。
カイポケM&Aでは、オンラインで簡単・無料の査定も実施しています。事業承継の第一歩として、ぜひご活用ください。
② 自社情報の整理
専門家との相談内容をもとに、買い手企業へ提示する自社情報を整理します。財務状況や施設の概要など、判断に必要な情報をまとめておくことが重要です。
③ 買い手企業とのマッチング
専門家が希望条件に基づき買い手企業へ打診し、マッチングを進めます。
④ 買い手企業との面談(基本合意)
マッチング段階では限られた情報で候補を絞り込みます。
その後、M&Aを前向きに検討している企業と面談を行い、詳細情報を提示したうえで双方の意向を確認します。
⑤ デューデリジェンス
買い手企業がM&Aの意向を示した後、企業価値に関する詳細調査(デューデリジェンス)が行われます。この調査結果をもとに、買い手企業は対象範囲と対価を決定します。
⑥ 最終合意に向けた交渉
双方の希望条件をすり合わせ、合意可能な条件に調整します。
⑦ 関係者への説明
通常、M&Aの条件には従業員の処遇や入居者への対応も含まれます。従業員・入居者それぞれにM&Aの内容を丁寧に説明し、理解・同意を得ることが必要です。
⑧ 最終契約・経営権の移転
関係者の同意が得られたら最終契約を締結します。
対価の支払いおよび経営権の移転も、契約内容に沿って順次進められます。
有料老人ホームのM&Aにおける留意点
不動産の評価
有料老人ホームのM&Aでは、土地・建物などの不動産売却が伴うケースがほとんどです。
売り手側の取得価格・帳簿価格と買い手側の査定額に大きな差が生じることがあるため、事前に認識を合わせておくことが重要です。
補助金・助成金
建設・設備・運営に関して補助金や助成金を受けている場合、M&Aの手法によっては受給が認められなくなるケースがあります。事前に所轄官庁へ確認しておきましょう。
入居一時金
有料老人ホームでは、「入居一時金」等の前払い金を徴収する料金体系で運営していることがあります。
前払い金は、入居後3カ月以内または想定居住期間内に契約が終了した場合、 実費相当額を控除したうえで返還する義務が生じます。 なお、権利金、礼金、保証金、入会金等といった名目の費用は老人福祉法の規定により、受領が禁止されています(2012年4月1日以降)。
M&Aを進める際は、前払い金の残高・返還義務の範囲・保全措置の状況をデューデリジェンスの段階でしっかり把握し、買い手企業と認識を共有することが重要です。
介護事業所の指定
特定施設入居者生活介護の指定を受けている場合や、訪問介護・デイサービスなどの介護事業所を併設している場合、有料老人ホームと介護事業所の所轄官庁が異なることがあります。事前相談や届出の提出漏れがないよう、余裕をもって手続きを進めましょう。
M&Aのメリット
有料老人ホームを廃業する場合、入居一時金の返還手続きや不動産の処分など、煩雑な対応が求められます。
M&Aを活用することでこれらの手続きを円滑に譲受企業に引き継げる点は大きなメリットです。
さらに、入居者の生活継続と従業員の雇用維持を実現できることも、M&Aが選ばれる重要な理由のひとつです。
有料老人ホームのM&A・売却事例
有料老人ホームのM&Aの事例① 株式会社シダーによる株式会社ダブルエイチオーの完全子会社化(2026年)
全国規模で有料老人ホームやグループホーム、デイサービス、訪問看護事業などを手がける株式会社シダーが、名古屋市で有料老人ホーム2施設などを運営する株式会社ダブルエイチオーを完全子会社化しました。 シダーが持つ運営ノウハウや経営資源を活用することで、ダブルエイチオーの収益力向上および事業運営の効率化・サービス品質の向上を図ることを目的としたものです。
有料老人ホームのM&Aの事例② 株式会社ベネッセスタイルケアグループによる株式会社日本ヒューマンサポートの完全子会社化(2025年)
有料老人ホームを中核事業とする株式会社ベネッセスタイルケアグループが、埼玉を中心に低価格帯の介護付有料老人ホームを展開する日本ヒューマンサポートの発行済全株式を取得し、子会社化しました。 首都圏郊外への拠点獲得および提供価格帯の拡大を狙いとしたものです。
有料老人ホームのM&Aの事例③ 株式会社リビングプラットフォームによるエムズコンサルティングの完全子会社化(2025年)
認知症グループホームや有料老人ホームを全国に構える株式会社リビングプラットフォームが、有料老人ホームなどを運営する株式会社エムズコンサルティングを完全子会社化し、愛知県に進出しました。
有料老人ホームのM&Aの売却・譲渡価格の相場
有料老人ホームのM&Aの売却価格の相場は、おおよその目安として「時価純資産価額+営業利益×2年〜5年分」となっています。
※施設の規模や土地・建物等の保有状況によって売却価格は変わりますので、売却価格が気になる方はこちらのページから無料査定を行ってみてください。
有料老人ホームのM&Aの売却・譲渡価格の算出方法
M&Aにおける企業価値の評価方法は、一般的に「①インカムアプローチ」、「②コストアプローチ」、「③マーケットアプローチ」の3つに分類されます。
- ①インカムアプローチとは:インカムアプローチとは、売り手企業の将来的な収益性を推計し、企業価値を算出する手法です。
- ②コストアプローチとは:売り手企業の純資産を評価し、企業価値を算出する方法です。
- ③マーケットアプローチとは:売り手企業と類似する企業の株価や過去の買収事例などを参考にして企業価値を算出する手法です。
有料老人ホームの売却案件一覧
有料老人ホームの売却案件は、 『こちらの売却案件一覧ページ』 から検索できます。
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