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赤字の特養(特別養護老人ホーム)を廃業・閉鎖する際の手続きとは?法人が倒産する前に取るべき行動

特養(特別養護老人ホーム)を経営している皆様は、人材確保の難しさや入所者の確保が困難なことから、閉鎖・廃業することを考えているのではないでしょうか?
この記事では、特養を閉鎖・廃業する前に経営者が取るべき行動と閉鎖・廃業までの流れについて説明しますので、ぜひご一読ください。

目次

特養が赤字・閉鎖・廃業に至る原因

独立行政法人福祉医療機構の『2021年度(令和3年度)特別養護老人ホームの経営状況について』によると、赤字の特別養護老人ホームの割合は、従来型で『42.0%』、ユニット型で『30.5%』となっています。
それでは、特養の経営が悪化し、赤字そして閉鎖・廃業に至る原因について見ていきましょう。

参考:独立行政法人福祉医療機構  2021年度(令和3年度)特別養護老人ホームの経営状況について

介護職員・その他の専門職等を確保できない

特別養護老人ホームでは、介護老人福祉施設の人員基準に定められる「医師」、「生活相談員」、「介護支援専門員」、「看護職員」、「介護職員」、「栄養士」、「機能訓練指導員」等のスタッフを配置しなくてはいけません。
特に、介護職員や看護職員は、業界全体で人材不足となっていることやシフト制で夜勤があることから「辞めたスタッフの補充ができない」、「応募が来ない」といった状況になってしまうことが多いようです。
人員を配置できないと、入所者の受け入れ・入所者へのサービス提供ができなくなり、収入を得られなくなります。また、職員を採用するために「給与体系を変更して給与を上げる」、「高額な手数料の人材紹介サービスを利用する」といった対策を行うことで赤字になってしまう施設もあるようです。

入所者を確保できない

特別養護老人ホームが赤字になり、閉鎖・廃業となる原因として、「入所者を確保できない」、「目標とする稼働率(利用率)を達成できない」ということも挙げられます。
独立行政法人福祉医療機構の『2021年度(令和3年度)特別養護老人ホームの経営状況について』によると、特別養護老人ホームの利用率は、従来型で『93.7%』、ユニット型で『93.8%』となっています。
こちらは平均値なので、95%以上の高い稼働率を実現し、待機者数も多い施設がある一方で、90%を下回る低い稼働率となってしまっている施設もあるようです。
これは、地域の中での要介護高齢者数の変化、近隣の特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院、有料老人ホーム、認知症高齢者グループホームなどの増加など、様々な背景が考えられます。

物価の高騰

独立行政法人福祉医療機構の『社会福祉法人経営動向調査の概要』の原油価格や物価高騰による影響の調査結果によると、電気代、ガス代、ガソリン代、消毒液等の保健衛生費、おむつ代などの介護用品費、給食費などの負担が増えていることが示されています。

特別養護老人ホームの閉鎖・廃業の手順・手続き

ここからは特別養護老人ホームを閉鎖・廃業するまでのおおまかな流れをご紹介します。
※指定権者によって手続きが異なりますので、実際に手続きをする際は、該当する指定権者までお問い合わせください。

  • 指定権者(都道府県・市)への相談
  • 従業員へ報告
  • 入所者・家族への報告
  • 入所者の転居(移行)予定の調整
  • 指定権者への書類提出
  • 従業員の異動の調整
  • 補助金の返還手続き
  • 施設廃止

1.指定権者(都道府県等)への相談

特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)を廃業する時には、指定権者(都道府県等)へ廃業の届出(廃止・休止届出書)を提出しなくてはいけません。
そのため、廃業を考えている場合は、まず指定権者に相談することになります。

2.従業員へ報告

廃止することが決まったら、従業員に、廃止すること、廃止までのスケジュール、廃止日までの業務内容等を伝えます。

3.入所者・家族への報告

廃止について入所者・ご家族へ連絡し、周知します。

4.入所者の転居(移行)予定の調整

入所者・ご家族の希望等を確認し、転居先等の確認、転居の支援を行います。

5.指定権者への書類提出

廃止にあたり、指定権者へ『廃止・休止届出書』や『入所者名簿』を定められた提出期限(廃止の日の1ヵ月前までが多い)までに提出します。
『廃止・休止届出書』には、廃止・休止の年月日、廃止・休止する理由、現にサービス又は支援を受けている者に対する措置を記載し、『入所者名簿』には、入所者の氏名、被保険者番号、住所、生年月日、移行予定先、移行確定先、移行年月日などを記載します。

6.従業員の異動の調整

廃止する特別養護老人ホーム以外に事業を行っている場合は、従業員の意向を確認し、異動等の調整を行います。廃止に合わせて退職を希望する従業員がいる場合には、退職に関する手続きを行います。

7.補助金の返還手続き

補助金の交付を受けて特別養護老人ホームの整備(建設等)を行った場合、財産処分の種類に応じて補助金を返還しなくてはならないケースもありますので、補助金の交付者に事前に確認し、必要な手続きを行います。

8.施設廃止

廃止予定日になり、事業の廃止、閉鎖となります。
直前までサービス提供を行っていた場合は、廃止日以降にも請求業務や精算に関わる業務があります。

閉鎖・廃業ではなく、M&A(事業譲渡)という選択を!

特別養護老人ホームの運営が赤字になり、事業を継続することが難しいことから閉鎖・廃止を考えているようでしたら、事業譲渡(M&A)するという選択肢もあります。
M&Aでは、従業員にとって働き慣れた職場での雇用の継続や、入所者へのサービス提供の継続、借入金等の財務面などでメリットがあります。
M&Aについて興味が出てきたようでしたら、ぜひ『カイポケM&A』にご相談ください。無料で売却適正価格の査定を行うことができます。

まとめ

社会情勢の変化から特別養護老人ホームの運営を継続することが難しいと感じるタイミングはあると思います。
そのような時には、閉鎖・廃業だけでなく、M&Aという選択肢があることを記憶に留めていただけると幸いです。
M&Aは、皆様が大切に運営してきた施設を存続することができ、入所者の生活と従業員の雇用を守ることに繋がっています。
この記事をお読みいただいてM&Aに興味をお持ちいただいた方は、ぜひ『カイポケM&A』までお問い合わせください。

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