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事業は好調、それでも選んだ「M&A」 ―子どもたちの居場所もスタッフの雇用も、そのまま次の運営者へ

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埼玉県内で放課後等デイサービス・児童発達支援事業所を運営していた、Fさん。2023年に法人を設立し、2024年6月に開業しました。

集客も採用も順調。それでもFさんは、開業から2年足らずで事業を譲る決断をします—本業である研究・教育に軸足を戻すために。

譲渡後、職員の離職はゼロ。屋号も運営体制もそのまま引き継がれました。

ご決断の経緯や、M&Aを進める過程で感じたこと、譲渡を終えた現在の率直なお気持ちを伺いました。

概要

譲渡企業 株式会社M(埼玉県/放課後等デイサービス・児童発達支援事業所を運営)
譲渡理由 本業(研究・教育コンサルティング)への注力
スキーム 株式譲渡
成約までの期間 ご相談から約7か月

成約までのプロセス

2025年6月
仲介契約の締結
2025年9月
意思決定・売却に向けた活動を本格化
2025年10月
買い手候補とのトップ面談開始
2025年12月
譲渡先の決定(基本合意)
2026年1月
買収監査(DD)
2026年1月
譲渡契約の締結

研究者から放課後等デイの経営へ

今回ご譲渡された事業を立ち上げた経緯について教えてください。

私はもともと研究者で、大学の講師を務める傍ら、教育系のコンサルティングも手がけてきました。

介護や福祉の領域とはそれまで縁がなかったのですが、ギフテッド傾向と発達特性をあわせ持つ子どもたちの支援にかねてから関心があり、身近に発達特性のある子どもがいたことも重なって、株式会社を先に法人登記、準備に時間をかけて翌24年6月に放課後等デイサービス・児童発達支援事業を始めました。

事業所は埼玉県・最寄り駅の徒歩圏内に構えました。ファミリー層が多いエリアだったこともあり集客は好調で、月商は最大で340万円ほどに届いていました。

スピーディーな対応が専任契約の後押しに

集客も売上も好調ななかで、開業2期目と早い段階でご相談いただいた経緯を聞かせてください。

研究や教育を本業と考えているので、将来的に第三者へ譲ることは開業時から想定していました。ただ、この時期に具体的に動くつもりはありませんでした。

きっかけは、並行して手がけていたコンサル事業の引き合いが予想を超えて増えたことです。こちらは自ら対応する必要があり、放デイの運営は職員に任せていたのですが、あまり現場に関われていなかったことに、どこか申し訳なさを感じていました。

そんなとき、複数のM&A仲介会社からダイレクトメールを受け取り、軽い気持ちで話を聞いてみました。この中で最も早くレスポンスをくれたのがカイポケM&Aでした。

「これならすぐに相手を見つけてくれそうだ」と期待できましたし、決めたことは一気に進めたい性分の私には良いパートナーだと感じ、専任契約を結びました。

当社のコンサルタントとのやり取りを通じて、「M&A」が具体的な選択肢になったのですね。ご譲渡にあたって譲れない条件やこだわりはありましたか?

売上を保ったまま、現場を混乱させずにスムーズに譲渡を終えることを重視していました。譲渡額については、多額の売却益を得たいとは考えていませんでしたが、「開業に要した初期投資分は回収したい」というラインはありました。

「いつまでに手放したい」という期限はなかったので、必要書類の提出等の初期対応は考えを整理しながらゆっくり進めていました。利用者数や職員の充足状況といった書類を揃えたのが9月頃で、そこから一気に話が進みました。展開の速さに驚いたほどです。

10月に初めてのトップ面談を経験してから年末までに、合わせて6組の買い手候補とお会いし、譲渡先を決定しました。

放デイをすでに手がけている会社の代表、これから参入したい医療法人、不動産事業の経営者ら多彩な相手とお話しでき、この時期は本当に忙しかったです。

会計処理の壁、コンサルタントの伴走で乗り越え

事業を続けながら譲渡準備を進めるのは大変だったと存じます。特に苦労された点はどこですか?

会社・事業の価値算定に必要な会計書類を揃えることでした。

もともと売却を予定していなかったため、日々の仕訳や経費管理、キャッシュフローといった細かな数字は現場と専門家に任せており、私自身が逐一把握している状態ではありませんでした。日常の運営にはそれで支障ありませんが、売却価格を評価してM&Aの交渉を進めるとなると、そうはいきません。

ただ、コンサルタントが初期段階から必要な対応をリスト化し、タイムスケジュールを示したり、ひな形を用意したりと助けてくれたので、負担はかなり減りました。契約や書類に漏れがあると先方とのトラブルの原因にもなりますから、心強かったです。

3カ月で6組と面談。決め手は"変わらない日常"を守れる相手

買い手候補のご関心はどこに集まったのでしょうか?

やはり、療育需要の高い地域に事業所を構えていたことが大きかったと思います。

市内には小学校が10校あり、それぞれに特別支援学級が2クラスずつ。開業時に調べたときには、今後さらに増えていく見込みだと聞いていました。需要がこの先も伸びていくのは明らかでした。 事業所の近くには特別支援学校もありました。

採用も順調で、有資格者にも困っていませんでした。当時、児童発達支援管理責任者(児発管)の要件を満たす職員が4名ほどおり、人材の層が厚い状態でした。譲渡の時点でも人材確保に不安がなく、「自走できる事業所」である点は私からもアピールしました。

売上は順調に伸ばしていた一方で、費用面には圧縮の余地が大きく、黒字化は十分に見込める段階でした。この伸びしろは買い手への訴求点になると考え、カイポケM&Aのコンサルタントとも共有していました。

ご譲渡先の決め手を教えてください。

決め手は複数ありました。まず、先方の決断が最も早かったこと。

もう一つはフランチャイズへの考え方です。当社はフランチャイズに加入していましたが、これは買い手候補によって受け止め方が分かれ、「脱退したい」という方もいらっしゃいました。最終的な譲渡先は「当面は加入したままでよい」という意向で、急に事業所の名前が変わって子どもたちや親御さんが混乱する事態を避けられること、スタッフが安心して働き続けられることが決め手になりました。

結果として離職はゼロ。譲渡後に退職した職員は一人もいません。屋号も運営体制も変わらず、子どもたちは以前と同じ場所に通い続けています。

ありがとうございました。カイポケM&Aのサービスにはご満足いただけましたか。

当初は、「5年ほど経営して初期投資は回収できれば」と考えていた事業でした。それが、カイポケM&Aとつながったことで、初期投資の回収にとどまらず、納得できる条件で、信頼できる譲渡先に委ねることができました。

経営難や高齢を理由に事業所を閉鎖し、負債が残ってしまうという話も耳にします。そうなる前に「M&Aというスキームを使った事業譲渡」は有効な選択肢になると感じました。

仲介を専門とするコンサルタントに間に入ってもらったことで、交渉もスムーズに進みました。自身の時間とエネルギーも新しい事業構想に向けることができ、現在は新規事業のの開業に向けて準備を進めているところです。

担当コンサルタントのコメント

担当コンサルタント
山本樹

今回のお客様は、ご自身の本業と事業所の将来を見据え、「事業をまだ続けられる」段階で譲渡を決断されました。

M&Aでは一般に、業績や人材面に不安が生じてからのご相談になると、事業の魅力が買い手に伝わりにくくなり、交渉の選択肢も狭まりがちです。今回は早い段階でのご決断だったからこそ、現在の運営体制に加えて、数字にはまだ表れていない強みや将来の成長性まで含めて評価していただくことができ、双方が納得できる条件での引き継ぎにつながりました。

本件では、お話を伺うなかで「療育需要の高い立地」と「厚い人材体制」という強みを言語化し、提案資料に落とし込みました。あわせて、事業の伸びしろを買い手の目線で具体的に示し、譲受後にどう成長させていけるかというシナリオを双方と描きました。現状をそのまま伝えるだけでなく、売り手の強みと買い手の構想を一つの絵につなぐこと—ここに、仲介者が間に入る価値があると考えています。

「事業を続けられる今だからこそ広がる選択肢」があります。地域のサービスと働く方々の生活を次につなぐために、今後も心を込めてご支援してまいります。将来の承継を少しでもお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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