厚生労働省の「令和5年度介護事業経営概況調査結果」によると、訪問看護の令和4年度決算の収支差率(税引き後・コロナ補助金含まない)は『5.9%』となっています。
また、同調査の収支差率の分布を見ると、赤字になっている事業所も多く存在していることがわかります。
この記事では赤字の訪問看護ステーションや目標の収支差率を達成できていない訪問看護ステーションが黒字化を目指すための取り組みについてご紹介していますので、ぜひご一読ください。
厚生労働省の「令和5年度介護事業経営実態調査」、「令和4年度介護事業経営概況調査」、「令和2年度介護事業経営実態調査」の結果によると、訪問看護の収支差率は以下のように推移しています。
赤字や目標未達の訪問看護ステーションが黒字化を目指すには、現状を把握し、目標を設定し、行動し、成果・実績を確認し、改善や更なる取組を推進するという流れで進めるのが一般的です。
まずは現在の経営状況を詳細に把握することが必要です。
収支が赤字であるということは、「収入と支出のバランスが取れていない状態」ということです。
そのため、月次試算表や決算書などから収入と支出を把握し、収支計画書(予算書)と比較して
を把握する必要があります。
次に、訪問看護ステーションの経営で達成する目標を決めます。
目標の設定では、5つの要素を明確にしながら目標を設定する「SMARTの法則」などの方法を用いると良いでしょう。
また、平均的な経営指標等は、厚生労働省の「介護事業経営実態調査」や「介護事業経営概況調査」の結果などを参考に把握しましょう。
【SMARTの法則の5つの要素】
目標の設定ができたら、それを達成するために計画した行動を実施します。
黒字化に向けた行動は、収支差に与える影響の大きさから優先度を設定して、実施していきましょう。
行動した結果、1月ごとなど一定の期間を区切り、定めた目標に対しての実績・達成度を確認します。
達成できていない場合は、その後の行動量や手段などを見直します。
期待していた効果が得られなかった場合は、目標とそれに対する行動について改善を検討する必要があります。
また、効果が得られた場合でも、次の目標を定めて更なる取組を考え、継続して実施することが必要になります。
訪問看護ステーションで黒字化が難しくなっている背景・理由として、「看護師の確保が困難」、「競合となる事業所の増加」が挙げられます。
訪問看護では、サービスの需要の増加に対して、看護師の数が不足しています。そのため、業界全体として人手不足が問題となっています。
訪問看護ステーションでは、雇用する看護師やリハビリテーション専門職の人数を増やすことで、サービスを提供する時間・回数を増やし、利益を出すことになります。
採用が困難になっている状況では、採用のために給与を上げたり、様々な有料の求人媒体を使ったり、人材紹介サービスを使ったりすることで、支出が増えてしまい、黒字化が難しい理由となっています。
一般社団法人全国訪問看護事業協会の「訪問看護ステーション数調査結果」によると、令和5年4月1日時点の事業所数は「15,697事業所」となっており、10年間で「2.3倍」に増えています。
事業所数が増えたことで、利用者様の確保が難しくなったり、看護師を確保するハードルが上がったりしていることで、黒字化が難しくなっている地域もあります。
訪問看護ステーションを黒字化するために様々な取り組みを行う中で、「黒字化することが難しい」、「どんな施策を打てば良いのかわからない」と感じている方は、法人・事業を売却(M&A)することを検討してみてはいかがでしょうか?
M&Aを行うことで、皆様が運営してきた訪問看護ステーションの運営が継続され、借入金の精算や創業者利益の確保といったメリットがあります。
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