M&Aや事業承継は、経営者にとって「一生に一度」あるかないかの大きな決断です。
しかし、いざ情報を探そうとすると、ネット上には広告や営業目的の情報があふれており、「何が正しい情報なのか」「どこまで信頼していいのか」と不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
M&Aは民間同士の契約ですが、実は国も「中小企業の存続・成長」のために、多くの予算と組織を使ってM&Aを支援しています。
こうした「公的機関の情報」は、公平かつ中立であり、経営者が判断を下す際の頼もしい「ものさし」になります。
本記事では、介護・医療経営者の皆様が、安全かつ賢くM&Aを進めるために知っておくべき「公的サイト・関連機関」を目的別に整理してご紹介します。困った時の『リンク集』として、お役立ていただければ幸いです。
なぜ「国や公的機関が運営するサイト」を確認すべきなのか?
M&Aの検討段階で公的情報を確認するメリットは主に3つあります。
- 「信頼」の担保(トラブル回避)
国が定めたガイドラインやルールを知ることで、不適切な業者を見抜いたり、契約上のリスクを事前に把握したりすることができます。 - 「資金」のメリット(補助金・融資)
M&A仲介手数料や、引き継ぎ後の設備投資に使える補助金情報は、公的サイトが一次情報となります。 - 「中立」な相談先
「まだ売ると決めたわけではない」「民間に相談すると営業されそう」という段階でも、公的機関なら公平な立場で相談に乗ってくれます。
1. M&Aのルール・基礎知識を知る(政策・指針)
まずは、国がどのような方針でM&Aを推奨しているか、どのようなルールがあるかを確認できるサイトです。
■中小企業庁(財務省)
https://www.chusho.meti.go.jp/
概要: 日本の中小企業政策全般を司る国の行政機関です。
活用ポイント: 特に「中小M&Aガイドライン」は必読です。M&A業者が守るべきルールや、経営者がトラブルを避けるために知っておくべき事項がまとまっています。
■独立行政法人 中小企業基盤整備機構(中小機構)
https://www.smrj.go.jp/
概要: 国の中小企業政策を実務面で支える実施機関です。
活用ポイント: M&Aの基礎から学べる動画教材や、事業承継に関するハンドブック、事例集などが豊富です。「まずは自分で勉強したい」という時に最適です。
2. 公的な窓口で相談する・相手を探す
「いきなり民間の仲介会社と契約するのは不安」という方は、まず地域の公的窓口を知っておくと安心です。
■事業承継・引継ぎ支援センター
https://shoukei.smrj.go.jp/
概要: 国が全国47都道府県に設置している公的な相談窓口です。
活用ポイント: 親族承継から第三者承継(M&A)まで、秘密厳守・無料で相談できます。「セカンドオピニオンが欲しい」「地域の身近なところで相手を探したい」という場合に活用できます。
3. お金のこと(補助金・資金調達)を調べる
M&Aには仲介手数料やデューデリジェンス(買収監査)費用など、相応のコストがかかります。これらを支援する制度を見逃さないようにしましょう。
■事業承継・M&A補助金
https://shoukei-mahojokin.go.jp/
概要: 事業承継やM&Aをきっかけとした経営革新や、専門家活用にかかる費用を補助する制度の特設サイトです。
活用ポイント: 仲介手数料や、M&A後の設備投資などが補助対象になる場合があります。最新の公募要領をチェックするために必須のサイトです。 (※年度によりURLが変更になる場合があります)
■ミラサポplus
https://mirasapo-plus.go.jp/
概要: 中小企業向けの補助金や支援制度を検索できるポータルサイトです。
活用ポイント: 国だけでなく、各自治体(都道府県・市区町村)独自の事業承継補助金を探すのに便利です。「エリア」×「事業承継」で検索してみましょう。
■日本政策金融公庫
https://www.jfc.go.jp/
概要: 政府系金融機関です。
活用ポイント: M&Aで事業を譲り受ける際の「買収資金」などに対する融資制度(事業承継・集約・活性化支援資金)があります。買い手企業にとって重要な資金調達の相談先です。
※本記事の情報は2025年12月時点のものです。最新情報は各公式サイトをご確認ください
4. 手続き・業界特有の情報(介護・医療)
実務を進める上で欠かせないツールや、許認可事業である介護・医療業界特有の情報源です。
■jGrants(Jグランツ)
https://www.jgrants-portal.go.jp/
概要: 国や自治体の補助金申請を行うための電子申請システムです。
活用ポイント: 多くの補助金申請はこのシステムを通じて行われます。利用には「GビズID」が必要になるため、補助金活用を検討中の方は早めの準備をおすすめします。
■厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/
概要: 医療、介護、福祉などの政策を所管する省庁です。
活用ポイント: 特に「医療法人」のM&Aは、持分の扱いや許認可など特殊なルールがあります。厚労省が出している事業承継の通知や手引きは、正確な情報を得るための重要な情報源です。
公的支援と民間サービス(カイポケM&A)の使い分け
ここまで公的機関の支援サイトをご紹介しました。
これらは非常に信頼性が高い一方で、「スピード感」や「業界特有の細かな相場観(介護報酬改定の影響など)」については、民間の専門仲介会社に一日の長がある場合もあります。
公的機関: 中立的なアドバイス、補助金情報、基礎知識の習得
民間サービス: スピーディーな相手探し、業界特有の実務サポート、詳細な条件交渉
これらを賢く組み合わせることが、納得のいくM&Aを実現する鍵です。
例えば、「公的機関のWebサイトでガイドラインや補助金情報を把握しつつ、具体的なマッチングや交渉は業界に特化した民間サービスに依頼する」という使い方が一般的です。
まとめ:正しい情報で、納得のいく事業承継を
M&Aは、情報の非対称性(売り手と買い手、あるいは業者との情報格差)が起きやすい取引です。
だからこそ、今回ご紹介したような国や公的機関が運営するサイト(一次情報)に触れておくことは、ご自身の身を守り、より良い相手と巡り合うための武器になります。
カイポケM&Aでは、中小企業庁の「中小M&Aガイドライン」を遵守し、介護・医療業界に特化した透明性の高い支援を行っています。
「まずは自社の価値を知りたい」「公的情報を見たけれど、実際どう動けばいいかわからない」という方は、お気軽にご相談ください。