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介護業界M&A(事業承継)の主な売却理由

2015年以降介護業界でのM&A件数が増加しています。
M&Aと聞くと「身売り」「乗っ取り」のようなマイナスなイメージをお持ちの経営者様も多いのではないでしょうか。
実はいま日本全体で後継者不足により「後継者承継」が増えています。
後継者不在は経営者の高年齢化が起因していますが、この動きは近年介護業界にも現れはじめています。
本記事では当社にご相談いただいた経営者様がどのような背景で譲渡を決断されているのか、その時実際どのような課題に直面していたのか、を事例をもとにご紹介させていただきます。

目次

介護業界でのM&A件数推移

介護事業所のM&A件数は年々増加しています。

特に2015年以降は介護報酬改定でのマイナス改定が経営に直接響き、事業所の廃業・倒産件数が増加するとともにM&A件数も増加傾向となりました。

表:レコフデータより弊社作成

介護業界にてM&A件数が増加している背景としては「売り手側も買い手側も同じ悩みを抱えている」という点が挙げられます。
また事業を継続させるために事業所の「休止・廃止」ではなく譲渡をし、事業継続を検討される経営者様が増えてきたことも起因しています。

介護事業所の譲渡(売却)理由 その1:人材不足

まず1つめの悩みは業界全体の悩みでもある「人材不足」です。
人材不足の課題は売り手側だけでなく、買い手側の課題にもなってきています。
事業を運営していくためには必ずスタッフが必要です。
各サービス種別ことに設定されている人員基準を満たすため、常に採用活動を行い人員確保を行っている事業所もあるかと思います。
人材不足となることで、採用コストが膨らみ、事業所の経営を悪化させてしまうこともあります。

実はこの悩みは売り手側だけの悩みではなく、買い手側の悩みでもあります。
買い手側が新規拠点を出したい、新規事業に参入したい、と動き出した場合、0から採用をするのはかなりの労力がかかります。
そのため、買い手側もすでに運営している事業所で働いている従業員の「人材確保」を重点に買収に望むケースが増えてきています。
同じ悩みから「売却したい」・「買収したい」というニーズがうまれ、M&A件数が増加している背景があります。
人材不足でお悩みの経営者様から具体的に以下のようなお悩みでご相談いただいています。

  • スタッフの採用難から自身がずっと現場に入っていて疲れてしまった
  • 管理者が辞めてしまうので、事業継続が困難になってしまった
  • 自身が体調不良になり、事業継続が困難になってしまった

経営自体は問題なくても人材不足から譲渡を決断されたケースです。
また、経営者様自身が高齢となっている状況で毎日現場に入り、経営を続けていることで体調不良となり、売却のご相談をいただくこともあります。
人員不足という根幹の原因で、様々な課題がでてきます。
課題が複数重なり、半年後の経営を不安に感じはじめたら、事業承継を視野に動き出してみてください。
事業承継をすることで、抱えている課題を解消することができます。

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介護事業所の譲渡(売却)理由 その2:後継者不在

引き続き人材不足の問題と関連しているのが、「後継者不在」という問題です。
事業の経営自体は利益もでている状態だとしても、将来的に事業を管理する人がいなければ事業所の運営を継続するのは困難です。
弊社で調査した介護事業所の経営者向けの「経営診断チェック」(2020年3月カイポケ関連事業所にて実施:206名回答)ではおよそ25%の経営者が「管理者が育たない」「後継者がいない」という問題を抱えていることが分かりました。
事業承継として、従業員継承、家族継承もありますが、管理者が育たない、という課題から従業員承継も難しく、家族に任せられる人間もいない。
このような状態で考えられる手段が第三者への承継、M&Aとなります。M&Aでの後継者探しも期間としては3ヵ月~6ヵ月、長いものでは1年ほどかかるケースもあります。
利用者様や残っているスタッフのためにも後継者を早いうちに見つけておくことが事業継続の鍵になります。

介護事業所の譲渡(売却)理由 その3:事業の選択と集中

そしてもう一つ多くのご相談が寄せられている譲渡理由が「事業の選択と集中のため」です。
「事業の選択と集中のため」とご相談いただくケースは事業所様が複数拠点運営されており、その一部を切り離し、他の事業所に経営を集中する場合や、複数事業を行っており、どちらか一方を切り離すといった場合が主になります。
このような場合、経営者様のお悩みは、

  • 事業所間の連携がうまくいかず、シナジー効果を生み出せていない
  • 事業所が遠方にあり管理が行き届かない

などの課題を抱えており事業譲渡をご希望されるケースがあります。
スタッフも利用者も安定しているものの、事業所間の管理に課題がある状態で今後経営を続けていくのは難しいと判断し、事業継続したまま切り離しができれば、というご相談をいただきます。
事業を切り離し、ということであれば事業譲渡で買い手側に譲渡することができます。
近隣エリアで事業拡大を図っている買い手、新規事業への参入を図っている買い手とマッチングすることができます。
M&Aという手段を使ってうまく事業運営のバランスを図っていただければと思います。

もしものときのために準備しておくべきこと

いざ、譲渡を決意して動こうと思っても実際どうしたらいいのか、とお困りの方もいらっしゃるかと思います。
詳細は弊社コンサルタントが案内をいたしますが、主に以下のものが手元にあればまずは問題ございません。

  • ① 過去3期分の決算書・損益計算書
  • ② 譲渡対象に係る固定資産一覧
  • ③ 給与台帳

実は弊社の調査(「経営診断チェック」(2020年3月カイポケ関連事業所にて実施:206名回答))で「事業所の損益計算書・貸借対照表がすぐにだせない」事業所様が10%程度いるこという結果となりました。
事業所のいまの健康状態を知るためにも税理士の方や経理の方に相談し、決算書・損益計算書はすぐにだせるようにしておくことをおすすめいたします。
関連記事: 介護事業所のM&Aを成功させる秘訣とは

まとめ

M&Aときくと前向きに検討できない経営者様もいらっしゃるかもしれませんが、いま行われているM&Aの多くは事業を継続させるための重要な手段となっています。
その分売り手側・買い手側双方の相性も重要になってくることから、納得のいくM&Aを追及することができます。
最適なパートナーに巡り合うには時間がかかります。
本記事でご紹介させていただいたお悩みを抱えられておりましたら、いつでもお気軽にご相談ください。
カイポケM&Aでは初めての方でも安心してご相談いただけるよう、相談無料・完全成功報酬制でサポートさせていただきます。

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