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【2026年最新】居宅介護支援事業所のM&A(事業売却・事業譲渡)の相場と進め方を解説

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居宅介護支援は、他の介護サービスと比べても収入に占める人件費の割合が高いサービス種別です。
近年単独の小規模事業所ではこの負担を吸収しきれず、大規模化を進める事業者との経営格差が広がっています。

2018年度介護報酬改定の管理者要件厳格化による主任介護支援専門員(主任ケアマネジャー)の配置義務化、2024年度の基本報酬引き上げ、さらに2026年6月の臨時改定による処遇改善加算の対象化など、経営判断に影響を与える変化も立て続けに起きています。
居宅介護支援事業の経営においては、収支面のみならず人材確保や広範な制度対応まで含めて「この先も事業を続けられるか」を見極める必要が出てきているといえます。

こうした状況下では社内の体制強化だけでなく、第三者への事業承継や他法人とのM&A(合併・事業譲渡など)も選択肢として検討されるケースがあります。
この記事では居宅介護支援事業所のM&A(事業売却・事業譲渡)について、売却相場の考え方、手続きの流れ、そして居宅介護支援ならではの留意点などを解説します。

この記事の要点

  • 居宅介護支援事業所の数は2018年(平成30年)をピークに緩やかな減少が続いており、給与費割合の高さを背景に大規模事業所ほど有利な二極化が進んでいる
  • 2024年度介護報酬改定は基本報酬の引き上げだが、担当件数基準の緩和や同一建物減算の新設など、実務・収益構造への影響は一様ではない
  • 管理者を主任介護支援専門員とする要件の経過措置は2027年(令和9年)3月31日までで、M&Aで管理者が交代する場合の要件確認は早めの着手が必要

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居宅介護支援事業所のM&A・事業承継とは

1-1「M&A」「事業承継」「株式譲渡」「事業譲渡」の違い

M&Aに関する言葉には似たものが多くありますが、これらの関係を整理すると、「事業承継」という目的を実現する手段の一つが「M&A」であり、さらにM&Aを実現する具体的な方法が「株式譲渡」や「事業譲渡」です。

事業承継は引き継ぐ相手によって「親族内承継」「従業員(親族外)承継」「第三者への承継(M&A)」に区分されます。それぞれの類型のメリット・課題は、詳しくは訪問介護のM&A(事業売却・事業譲渡)のメリットと一連の流れでも整理していますので、あわせてご覧ください。

1-2「廃業」か「事業承継」か―居宅介護支援事業から撤退する際の選択肢

事業を手放す場合の選択肢は大きく「廃業」と「事業承継」に分かれます。

廃業は経営者自身の判断により完結できますが、従業員を解雇し、利用者の引き継ぎ先を確保する必要があります。また、事業所の原状回復などのコストもかかるため、一般的に手元に残る資金は限られます。

これに対して、事業承継の大きなメリットは、従業員の雇用とケアマネジメントの提供体制を維持できることです。M&Aであれば、譲渡対価を得られる可能性がある点も廃業との明確な違いです。

居宅介護支援事業所を取り巻く経営動向

2-1 事業所数は2018年をピークに緩やかな減少が続く

居宅介護支援は、介護保険事業の中でも設備などの初期投資が比較的少なくて済むサービス種別です。管理者には主任介護支援専門員、従業者には介護支援専門員の資格が必要ですが、一人でも開業できるため独立・開業する方から選ばれやすい事業でもあります。

厚生労働省「介護給付費等実態統計」(各年4月審査分)を用いた社会保障審議会介護給付費分科会資料(第259回、2026年6月29日)によると、居宅介護支援の請求事業所数は2018年度(平成30年度)の40,065事業所をピークに減少が続いており、2025年は35,943事業所で、前年から516事業所(1.4%)減りました。
直近の推移は次のとおりです。

年度令和3年度令和4年度令和5年度令和6年度令和7年度
請求事業所数38,31837,83137,19736,45935,943

一方で、居宅介護支援の利用者数・費用額は増加を続けており、市場自体は依然として拡大傾向にあります。市場の伸長には、サービスの対象となる75歳以上人口が増加を続けていることに加え、国が「施設から在宅へ」という移行政策をとってきたことで、居宅介護支援の役割が押し上げられていることなどが影響しています。

2-2 主任ケアマネジャーなど人材確保の難しさが事業所の休止につながっている

居宅介護支援事業所数の推移について、請求実績のある事業所数の集計を用いましたが、登録上の事業所数(2024年時点では37,258カ所、「令和6(2024)年介護サービス施設・事業所調査」の数値)と実際に給付管理の請求を行っている事業所数(36,459カ所、「介護給付費等実態統計」の数値)の間には約800カ所の乖離があります。

この乖離は、管理者(主任ケアマネジャー)を含む人材確保が困難になったことなどが影響して、実質的に休止状態となっている事業所が相当数あるためと考えられます。 ケアマネジメントには常に「質の高さ」が求められており、介護報酬改定の度にこれを制度上どのように担保するかが論点となり、2018年度改定では、この「質」の向上を担保する施策の一つとして、居宅介護支援事業所の管理者要件に「主任ケアマネジャーであること」が追加されています。

2-3 給与費割合が高く、大規模化を背景に二極化が進む

新規開設と休廃止の入れ替わりが激しく、事業所総数を追うだけでは個々の事業所の経営状況が読み取りにくいという点は、他の在宅系サービスと同様に居宅介護支援事業についても読み取れる傾向です。

その中でも居宅介護支援事業で近年顕著なのは、収入に占める給与費(人件費)の割合が約76%(令和6年度決算、令和5年度は76.5%)と、他の介護サービスと比べても突出して高いことなどから、一定規模以上の法人が再編や統廃合を進め、経営効率の向上を図る動きが近年強まっていることです。

また、大規模な事業所ほど収益性が高くなる傾向があることも、厚労省の「令和7年度介護事業経営概況調査結果」で示されています。

指標令和5年度決算令和6年度決算
居宅介護支援の税引前収支差率6.2%6.2%
居宅介護支援の給与費割合76.5%76.2%

※ 出典:厚生労働省「令和7年度介護事業経営概況調査結果」(全サービス平均の収支差率は4.7%)

なお、居宅介護支援事業所の給与費に関連して、2026年6月に施行された臨時介護報酬改定では介護現場の賃上げを目的とした「介護職員等処遇改善加算」拡充が行われ、それまで対象外だった居宅介護支援にもこの加算が新設されました。

経営体力が残っているうちに「M&A」という選択肢の検討を

居宅介護支援の事業構造や近年の経営実態を整理すると、以下のような特徴があります。

  • 在宅介護を支えるケアマネジメントの需要は今後も変わらず存在する
  • 人件費負担の重さから単独での収益確保が難しく、事業所間の経営格差が広がっている
  • 主任介護支援専門員の確保という独自の人材面の制約が存在する
  • 単独・小規模事業所では収支が圧迫されやすく、大規模化が進んでいる

こうした環境下で、既存事業所のM&Aによる参入・拡大は、合理的な経営戦略として位置づけることができます。経営体力が残っているうちに、事業を続けられるか、誰かに託せるかを検討しておく価値は小さくありません。

M&Aは検討開始から完了までに半年〜1年程度を要するため、「実施すると決めてから相談する」のではなく、「検討を始めた段階で専門機関に相談する」ことで、選択肢は確実に広がります。

居宅介護支援事業所の売却相場・企業価値の考え方

M&Aでは一般的に、収益や資産・負債の項目などの金額をベースに譲渡候補の会社や事業の評価額が算定されます。その評価手法はいくつかあり、絶対的な指標によって機械的に決まるものではありません。また、評価額とは別に、最終的な譲渡価格は両者の合意で決まります。

ここでは、居宅介護支援のM&Aで買い手が何を見ているのか、評価額はどう算定されるのかを解説します。

4-1 譲受企業(買い手)から見たM&Aの目的

居宅介護支援事業所の譲受を検討する企業の多くは、すでに訪問介護や通所介護など他の介護サービスを手掛けている法人です。居宅介護支援事業所を組み込むことで、次のような狙いを持ってM&Aが検討されます。

  • 自社の他サービスへの利用者紹介・連携体制の強化
  • 事業エリアの拡大、ドミナント展開
  • 介護支援専門員、特に主任介護支援専門員の獲得
  • 既存利用者・地域のケアマネジメント機能の引き継ぎ

4-2 譲渡価額の相場と算出に用いる考え方

介護事業のM&Aでは、「時価純資産プラス営業権法」(年倍法)という企業価値評価の手法がよく用いられます。「営業権(のれん代)」は、事業の強みや稼ぐ力を示す評価額であり、介護事業では一般的に実質的な営業利益の2〜3年分が目安とされています。なお、M&Aの実施スキームによって、計算の起点や引き継がれる負債の範囲は変わります。

4-3 居宅介護支援ならではの評価ポイント

資産規模や利用者数が同程度でも、実際の評価には次のような要素が影響します。

  • 介護支援専門員の資格・人数・定着状況:主任介護支援専門員が在籍しているか、譲渡後も人員体制基準を満たして運営を続けられるかは評価に直結します
  • 算定区分と減算の有無:居宅介護支援費(Ⅰ)(Ⅱ)のどちらで算定しているか、同一建物減算の対象かどうかで収益力の見え方が変わります
  • 利用者基盤と地域連携:利用者数の継続性、地域の医療機関・他事業所との連携体制
  • 併設・委託関係:サービス付き高齢者向け住宅等への併設・常駐の有無、運営受託契約の内容
  • 財務の状況:借入金の残高、債務超過の有無、事務所が賃貸か自己所有か

4-4 単独・小規模型事業所でも居宅介護支援のM&Aは成立し得る

譲渡価格の算定では収益や資産の数値がベースとなりますが、それだけでM&Aの成立可否は決まりません。

当社が仲介した案件の中には、単独の小規模事業所が承継された事例もあります。譲受成立に至った理由は「ケアマネジメント機能の強化」「地域連携の拡大」など、評価を左右する要素と重なっており、小規模・単独事業所であることそのものがM&A成立の妨げにはなりません。

居宅介護支援事業所のM&A(事業譲渡・事業売却)の流れ

M&Aは一般的に、次のような流れで進みます。

  • ①専門家・専門業者を選定、相談:実績や会社の規模、介護事業に対する理解の深さなどの要素から信頼できる企業を選びます
  • ②自社情報の整理、希望条件のまとめ:資産や借入金、介護支援専門員の人数・資格、利用者数などを整理して、希望条件をまとめます
  • ③譲受(買い手)企業のマッチング:M&A支援の専門家・専門業者が、希望条件をもとに譲受企業を探して打診します。仲介会社が支援する場合、秘密保持契約(NDA)を締結します
  • ④トップ面談:譲渡企業と譲受企業でM&Aに関する基本的な条件・方向性を確認します
  • ⑤デューデリジェンス(DD):譲受企業が譲渡企業の実態を調査する工程です。財務・法務・労務のほか、居宅介護支援では管理者要件の充足状況や運営指導の履歴、加算の算定要件も確認事項となります
  • ⑥最終契約の締結:DDの結果を踏まえて最終条件を交渉し、正式な契約を締結します
  • ⑦関係者への説明:利用者・従業員への説明は、原則として最終契約の締結後に行います
  • ⑧クロージング:譲渡企業の経営権が譲受企業に移り、手続きが完了します

居宅介護支援事業所は所有する資産が比較的少ないため、相談から最終契約までのプロセスが早く進みやすい傾向があります。

居宅介護支援事業所のM&Aで押さえておきたい留意点

居宅介護支援事業所の事業譲渡・事業売却では、所属する介護支援専門員の人数や能力、担当する利用者の人数によって評価が変わります。そのため、従業員への説明や同意は慎重に進める必要があり、継続雇用の際の条件面についても譲受企業との調整が欠かせません。

また、管理者に主任介護支援専門員を配置する要件は、2021年(令和3年)3月31日時点で主任介護支援専門員でない者が管理者を務めている事業所に限って、その管理者が在任し続ける限り、要件の適用が2027年(令和9年)3月31日まで猶予されるという経過措置が設定されています。
しかし、この経過措置期間中であっても、管理者が交代する場合は、新たな管理者は主任介護支援専門員でなければなりません。M&Aによって法人の代表者や事業所の管理者が交代する場合、この要件に抵触しないかは早い段階で確認しておくべき論点です。

居宅介護支援事業所の売却案件一覧

居宅介護支援事業所の売却案件は、売却案件一覧ページからご確認いただけます。

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カイポケM&A編集部

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