認知症の高齢者が、住み慣れた地域で安心して暮らし続けるための住まいとして機能するグループホーム。営利企業も参入できる事業形態であることから、現在は多種多様な企業が運営を担っています。
一方で、介護業界全体を悩ませる深刻な人材不足の影響を受け、経営が思うように軌道に乗らない事業所が増えているのも現実です。
この記事では、グループホームの経営に不安を抱えM&Aを検討し始めた方に向けて、手続きの流れから押さえておくべき留意点まで、わかりやすく解説します。
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)とは
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)は、認知症の高齢者を対象に、入浴・排泄といった身体介護から日常生活全般の支援までを提供する介護事業所です。定員は9〜18名程度と小規模で、家庭に近い温かみのある環境の中で、きめ細かな介護サービスを展開しているのが特徴です。
M&A(事業譲渡・事業売却)とは?
M&Aとは「Mergers(合併)and Acquisitions(買収)」の略称です。日本では、会社法が定める合併や会社分割といった組織再編にとどまらず、株式譲渡や事業譲渡など幅広い手法による事業の引き継ぎ(譲り渡し・譲り受け)全般を指す言葉として定着しています。事業の拡大・集中・承継を目的にM&Aを積極的に活用する企業は年々増加しており、国内の成約件数も右肩上がりで推移しています。
グループホームのM&A(事業譲渡・事業売却)を考えるきっかけ、タイミングとは?
グループホームを運営する会社が、事業の譲渡・売却を検討するきっかけや背景には、主に以下のようなものが挙げられます。
- 経営者の高齢化が進み、事業を引き継ぐ後継者が見つからない
- 赤字経営が続き、追加融資も困難な状況に陥っている
- 借入金の返済が行き詰まりつつある
- 本業・主力事業へのリソース集中を図りたい
グループホームのM&A(事業譲渡・事業売却)の流れ
M&Aを進める際は、おおむね以下の流れで手続きが進んでいきます。
まず専門家・仲介企業の選定から始まります。M&Aの成否は、どの専門家に依頼するかで大きく左右されます。
売却価格や条件にも影響が出るため、実績や得意分野をしっかり見極めたうえで信頼できるパートナーを選びましょう。
カイポケM&Aでは、オンラインで簡単に無料査定が受けつけています。事業承継の第一歩として、ぜひこちらのページからお気軽にご利用ください。
専門家が決まったら面談を行い、希望条件や現状を共有しながら、今後必要となる情報を整理します。
その内容をもとに自社情報の資料化を進め、買収企業への打診に備えます。不明点が生じた際は、専門家に随時相談しながら進めると安心です。
資料が整ったら、専門家が独自のネットワークを通じて買収候補企業への打診を行います。候補企業とのマッチングが成立したら、売却側・買収側双方で面談(基本合意)を実施し、条件の詳細を確認したうえで買収意向を確認します。
その後、買収企業によるデューデリジェンス(企業価値の調査・評価)を経て、評価結果をもとに条件を調整し最終合意へと進みます。
合意後は、グループホームの利用者・従業員など関係者への説明と同意取得を行い、契約締結をもって経営権が移転します。
契約後も必要な事務手続きが発生しますので、合意内容に沿って双方が協力しながら引き継ぎを完了させます。
M&A(事業譲渡・事業売却)のメリット・デメリット
続いて、グループホームをM&Aによって譲渡・売却する場合のメリットとデメリットを整理します。
M&A(事業譲渡・事業売却)のメリット
廃業ではなく、M&Aによる事業継続を選択する経営者がより多い理由として、大きく以下の三つのメリットがあります。
一つ目は創業者利益の確保です。企業価値が高く評価されれば、これまでの投資額を上回る価格での売却も期待できます。また、廃業した場合に生じる負債の精算・軽減につながるケースも、このメリットに含まれます。
二つ目は入居者の生活の継続です。グループホームには、在宅生活が困難な認知症の高齢者が入居しています。廃業となれば入居者は転居を余儀なくされますが、転居先がすぐに見つからないケースや、環境の変化で認知症の症状が悪化してしまうケースも少なくありません。M&Aを通じて事業を存続させることは、入居者の安心できる生活を守ることができます。
三つ目は従業員の雇用の維持です。会社や事業所の経営上の事情で、これまで共に働いてきたスタッフに転職活動を強いることに心苦しさを感じる経営者は多く、M&Aはその懸念を解消する手段としても評価されています。
M&A(事業譲渡・事業売却)のデメリット
一方、デメリットとして意識しておきたい点も二つあります。
一つ目はこれまでの方針・コンセプトが引き継がれないリスクです。
M&Aによって経営者が交代すると、事業所の運営は買収企業の理念や方針に沿って行われるようになります。そのため、これまで大切にしてきたサービスの質や独自のこだわりが継続されない可能性があります。
二つ目は従業員の離職につながるリスクです。
雇用の維持を目的の一つとしてM&Aを選択した場合でも、買収企業が設定する給与水準や労働条件が既存スタッフの希望と合わない場合、結果として離職を招いてしまうことがあります。事前の条件のすり合わせが重要なポイントとなります。
【2026年最新】グループホームのM&A・売却事例
事例① 創生事業団×三菱電機ライフサービス(2025年)
全国にグループホームや特定施設などの拠点を展開する株式会社創生事業団が、三菱電機ライフサービスが運営していたグループホーム23拠点を含む介護事業を、会社分割によって承継しました。 大手企業による、規模の大きなM&A案件です。
事例②メディカル・ケア・サービス×オーケーサービス(2025年)
グループホームを主力事業とするメディカル・ケア・サービス株式会社が、千葉県内で有限会社オーケーサービスが運営していたグループホーム2事業所の営業権を譲り受けました。同社が展開する「愛の家」ブランドのグループホームは、この譲受により千葉県で28事業所目となりました。
事例③ニチイ学館×ケアバンク(2024年)
在宅系から居住系まで幅広い介護サービスを全国で展開する株式会社ニチイ学館が、事業拡大の一環として、福井県鯖江市のケアバンク株式会社が運営するグループホーム事業を事業譲受により承継しました。
グループホームのM&Aの売却・譲渡価格の相場
グループホームのM&Aにおける売却価格の目安は、一般的に「時価純資産価額+営業利益×2〜5年分」とされています。
ただし、事業所の規模や土地・建物の保有状況によって実際の価格は大きく異なります。自社の売却価格が気になる方は、こちらのページから無料査定をお試しください。
グループホームのM&Aの売却・譲渡価格の算出方法
M&Aにおける企業価値の評価方法は、一般的に「①インカムアプローチ」、「②コストアプローチ」、「③マーケットアプローチ」の3つに分類されます。 それぞれの考え方を簡単に整理します。
インカムアプローチは、売り手企業の将来的な収益性を推計したうえで企業価値を算出する手法です。事業が生み出すキャッシュフローや利益に着目する点が特徴です。
コストアプローチは、売り手企業の純資産をベースに企業価値を評価する手法です。資産と負債の差額から価値を算出するため、財務状況を客観的に把握しやすいアプローチです。
マーケットアプローチは、売り手企業と類似した企業の株価や過去の買収事例などを参考に企業価値を算出する手法です。市場の実勢を反映した評価が得られるのが利点です。
グループホームのM&A(事業譲渡・事業売却)の留意点
まず、補助金の取り扱いです。グループホームでは、スプリンクラー設置に関わる補助金など、運営上で各種補助金を受けているケースがあります。 補助金にはそれぞれ別途要綱が定められており、M&Aの際には要綱に沿った手続き・対応が求められます。
また、利用者から預かっている敷金などの預り金についても、引き継ぎの方法や取り扱いを事前に整理しておく必要があります。不明点は専門家に早めに確認することをお勧めします。
グループホームの売却案件一覧
現在公開中のグループホームの売却案件は、 売却案件一覧ページ からご確認いただけます。
まとめ グループホームのM&A・事業承継のご相談なら『カイポケM&A』へ
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M&Aは、経営者ご自身はもちろん、従業員・ご家族・関係者すべての将来を左右する重大な決断です。一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。