廃業
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは、2011年10月から始まった高齢者住まい法に定められる「高齢者が安心して居住できる賃貸住宅」です。 2023年1月末時点で、サービス付き高齢者向け住宅は全国で281,127戸と急激に数を増やしていますが、整備が進む中でも経営が難しく、廃業に至っているサービス付き高齢者向け住宅もあります。
この記事ではサービス付き高齢者向け住宅が廃業を迫られる原因と廃業の流れについて説明しますので、サービス付き高齢者向け住宅を経営している方は、ぜひご一読ください。
サービス付き高齢者向け住宅を経営している中で、「思ったよりも入居率が低い」「退去する方が多い」、「運営コストがかかりすぎている」など、サービス付き高齢者向け住宅の経営が厳しいと感じている方は多いと思われます。
ここでは、サービス付き高齢者向け住宅が廃業や閉鎖する具体的な原因についてご紹介します。
サービス付き高齢者向け住宅が赤字となる最も大きな要因が、「入居者を確保できない」ことです。
国土交通省が発表している「サービス付き高齢者向け住宅の現状」によると、開設から2年ほどで入居率が安定する傾向にあることが示されています。
そのため、開設当初の入居率を高く設定し、資金調達を行っている場合は、資金不足になってしまう可能性があります。
サービス付き高齢者向け住宅は基本的には自立している高齢者が入居する住宅です。
「地域の高齢者のニーズと合っていない」「同地区内にサービス付き高齢者向け住宅が開設した」など入居者を予定や計画通りに確保できないことで経営に影響を及ぼすことがあります。
また、入居した方の心身の状況の変化により、サービス付き高齢者向け住宅では対応できない状態になると退去となり、入居者は継続的に確保し続けることが必要です。
入居者を確保することができると比較的順調に経営できる面があり、計画通りに入居者を確保できない場合に対しての財務面での対応を考えていないため廃業や閉鎖を迫られることがあります。
サービス付き高齢者向け住宅のスタッフを募集する際に、直接的な介護業務を行うわけではないですが、介護職員初任者研修修了者等を募集することが多く、介護業界での熾烈な求人競争に影響を受けることがあります。
その結果、待遇や実務経験などの面で、採用が難しく、運営ができず廃業や閉鎖になるケースがあります。
サービス付き高齢者向け住宅の経営では、「自社で物件を用意して、自社で運営する場合」と「自社で物件を用意して、運営を外部の会社に委託する場合」があります。
ここでは、「自社で物件を用意して、運営を外部の会社に委託する場合」の廃業に至る原因である運営会社の倒産について説明します。
サービス付き高齢者向け住宅は満たすべきサービスの基準があり、また、入居者を募集する際に提供するサービスを説明して入居していただきます。
外部の運営を委託された会社が、採算が取れず撤退、倒産等になると、物件の所有者は別の運営を委託できる会社を探すか、自社での運営に切り替えるしかなくなります。
最初の運営会社の経営が厳しくなるような案件では、その後に同じ条件で委託を受けてくれる会社はなかなか見つからないでしょう。
そして、委託する運営会社が見つからない、自社運営に切り替えても経営がうまくいかない、などからサービス付き高齢者向け住宅を廃業・閉鎖するケースがあります。
ここでは複数の事業を経営している会社が、サービス付き高齢者向け住宅の事業だけを廃業する場合の流れを説明します。
おおまかな流れは以下のようになります。
サービス付き高齢者向け住宅を廃業する時には、所轄官庁へ廃業の届出を提出しなくてはいけません。
そのため、廃業を考えている場合は、まず所轄官庁に相談することになります。
廃業のスケジュールが具体的に決まったら、従業員に廃業の具体的なスケジュールとそれに係る業務を伝え、従業員の意向を確認します。
廃業について入居者・ご家族へ連絡し、同意を得る必要があります。廃業のスケジュールだけでなく、転居先の調整や敷金の返還などについての対応方針なども伝えましょう。
ここでは東京都を例に説明します。
東京都では、提出する書類、提出先、提出期限等は以下のようになっています。
原則として、入居者の転居先を探すための支援を行うことになります。併せて、現在利用している介護サービス、医療機関等も勘案して調整することになります。
従業員の意向に沿った対応をすることが前提となりますが、他の事業を行っている場合は配置転換や、廃業する日に退職する場合は、退職に関する手続きを行う必要があります。
このような流れで、サービス付き高齢者向け住宅を廃業することになります。
ここではサービス付き高齢者向け住宅を運営している株式会社が破産手続きを開始する場合の流れについて説明します。 事業を廃業するという点では同じですが、会社が「破産する」ということは、財産の処分権が破産管財人に移ることになります。
訪問介護事業所及び通所介護事業所を併設している場合は、サービス付き高齢者向け住宅を廃業する手続きとは別に廃止の手続きが必要になります。
具体的な手続きの手順は以下のようになります。
赤字が回復する見込みもなく、事業を継続することが難しく廃業や閉鎖を考えたときには、法人・事業の売却(M&A)をするという選択肢もあります。
M&Aでは、従業員の雇用継続、入居者への負担軽減、経営者にとって財務面や今後の仕事など様々なメリットが挙げられます。その他にも皆様が気になる点として、「補助金について」「物件の今後について」があるでしょう。この2点について解決できる点も大きなメリットです。
財務面のメリットは、M&Aの過程で専門家が介入する場合と、介入しない場合では大きな差が生じることがあります。また、M&Aを進める上での、自社情報の整理や資料の作成、買収企業へのアプローチや面談など手続きが多いため、専門家への依頼をおすすめします。
様々な理由により、サービス付き高齢者向け住宅の運営が難しいと感じることがあるようです。サービス付き高齢者向け住宅を経営する皆様は、事業運営が難しく、廃業・閉鎖を考えたことはありますか?
M&Aは、皆様が立ち上げ、大切に運営していきた会社を存続でき、入居者と従業員を守ることができるメリットがあります。
この記事をお読みいただいてM&Aに興味をお持ちいただいた方は、ぜひお問い合わせください。
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