廃業
グループホームは、介護を必要としている高齢者向けのグループホーム(認知症対応型共同生活介護)と、支援を必要としている障害者向けのグループホーム(共同生活援助)があります。
どちらも事業所数が増加傾向にありますので、競合となる事業所の増加に加え、新型コロナウイルス感染症のまん延、物価高騰などの影響から経営状況が悪化しているグループホームもあるのではないでしょうか。
この記事では、グループホームが赤字・経営悪化に至る原因と対策、廃業・閉鎖するまでの流れについて説明しますので、ぜひご一読ください。
ここでは、グループホームの経営が悪化し、赤字そして閉鎖・廃業に至る原因と対策について見ていきましょう。
高齢者向けのグループホーム(認知症対応型共同生活介護)では、人員基準に定められる「管理者」、「計画作成担当者・ケアマネジャー」、「介護職員」等の従業員を配置しなくてはいけません。
障害者向けのグループホーム(共同生活援助)では、人員基準に定められる「管理者」、「サービス管理責任者」、「世話人」、「生活支援員」等の従業員を配置しなくてはいけません。
福祉・介護人材は、人材が不足していることから、予定している人数を確保することが難しく、人材を確保するために、人件費を上げたり、求人広告・人材紹介サービスなどを利用したりすることで、経費が増え、経営状況が悪化することがあります。
対策としては、収入と人件費のバランスを取りながら、応募者が集まる給与・待遇を設定することが挙げられます。
グループホームは、入居者を確保することで収入を得るビジネスです。定員数に対して、どれくらい入居しているのかを計る指標として、一般的に「稼働率(利用率)」を用いますが、この稼働率が低いことで目標としている収入に届かず、赤字になってしまうことがあります。
稼働率が低い、上げられない要因を特定して、その要因に合わせた対策を取りましょう。
例えば、新規の入居者を確保できない場合、「営業にいく回数を増やす」、「営業にいく範囲を拡げる」、「入居者紹介サービスを使う」などの対策が挙げられます。その他、退去になる入居者が多い場合は、「サービスの質・内容を見直す」、「人材育成に力を入れる」といった対策が考えられます。
グループホームの介護報酬・障害福祉サービス報酬は、サービスを提供することで算定できる基本報酬に、事業所の取り組みや体制等に応じて「加算」を算定できる報酬体系になっています。
この加算を算定することで、入居者1人あたりの単価が上がることになりますが、加算を算定するための取り組み・人員配置・体制構築ができない場合、単価が低く、目標とする収入を確保できないため、赤字になってしまうことがあります。
対策としては、加算の算定要件を理解し、加算を算定するために必要となる取り組みや人員配置にどれくらいの費用が必要になるかを計算して、収支にプラスの影響がある加算を積極的に算定することが挙げられます。
昨今の社会情勢の変化から電気料金、ガス料金、食材や消耗品などの価格が高騰し、経費全体が増え、経営状況が悪化してしまうことがあります。
対策としては、同様の品質でより安価な商品・購入先がないかを探すこと、消耗品のコストダウンに取り組むこと。価格転嫁が可能なものは価格の見直しを行うことなどが挙げられます。
高齢者向けのグループホーム(認知症対応型共同生活介護)を閉鎖・廃業するまでのおおまかな流れは以下のようになります。
※指定権者によって手続きが異なりますので、実際に手続きをする際は、事業所の指定権者へお問い合わせください。
グループホームを廃業する時には、指定権者(市町村)へ廃業の届出(廃止・休止届出書)を提出しなくてはいけません。
そのため、廃業を考えている場合は、まず指定権者に相談することになります。
閉鎖のスケジュールが具体的に決まったら、従業員に閉鎖の具体的なスケジュールとそれに係る業務を伝え、従業員の異動の予定を連絡したり、離職等の意向を確認したりします。
入居者・そのご家族へ廃業のスケジュール等について連絡を行います。入居者が希望する生活を継続することができるように、転居先の調整や敷金の返還などについての対応方針なども伝えましょう。
廃止にあたり指定権者へ提出する書類と期限等は以下のようになっています。
廃止するグループホーム以外の事業所を運営している場合は、従業員の異動等の調整を行います。他に事業を行っていない場合や廃止に合わせて退職を希望する従業員がいる場合には、退職に関する手続きを行います。
廃止予定日になり、事業の廃止・廃業となります。
直前までサービス提供を行っていた場合は、廃止日以降にも請求業務や精算に関わる業務が発生します。
グループホームの経営状況が悪化し、対策を実施したが、改善できずに赤字になってしまっているケースもあるでしょう。そのようなケースでは、「事業所の閉鎖」や「廃業」、「倒産」といった選択肢を考えてしまうかもしれません。
もし、閉鎖や廃業を考えているようでしたら、法人・事業を売却(M&A)するという選択肢もありますので、ここではM&Aについて説明します。
M&Aは、「Mergers(合併)and Acquisitions(買収)」の略で、複数の会社が合併することや、会社の全部または一部の事業の買収を行うことを指しています。
M&Aで事業を売却することで、借入金等の精算ができるだけでなく、入居者へのサービス提供の継続、従業員の雇用継続などのメリットがあります。
カイポケM&Aは、無料で売却適正価格の査定を行うことができますので、M&Aについて興味をお持ちでしたら、ぜひ『カイポケM&A』にご相談ください。
グループホームの赤字・経営悪化の原因と対策、そして運営が難しいと感じた場合の『M&Aという選択肢』について詳しく説明しました。
M&Aは、借入金の精算や創業者利益の確保だけでなく、皆様が立ち上げ、運営してきた大切な事業所・会社を存続させることができ、入居者・そのご家族と従業員を守ることにも繋がっています。
この記事をお読みいただいてM&Aに興味をお持ちいただいた方は、ぜひお問い合わせください。
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