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赤字で経営悪化したデイサービスを廃業・閉鎖・倒産する前に取るべき行動・手続き

廃業

デイサービスは、通所介護と地域密着型通所介護を合わせると、全国に40,000事業所以上が運営されています。
昨今では、新型コロナウイルス感染症や物価高騰などの影響から経営状況が悪化しているデイサービスが増えています。
厚生労働省の「令和4年度介護事業経営概況調査結果」によると、令和3年度決算の収支差率(税引き後・コロナ補助金)は、通所介護では『+0.7%』、地域密着型通所介護では『3.1%』となっています。
この記事ではデイサービスで赤字・経営悪化の原因と廃業・閉鎖するまでの流れについて説明しますので、ぜひご一読ください。

目次

デイサービスが赤字で経営悪化し、廃業・閉鎖・倒産に至る原因と対策

ここでは、デイサービス(通所介護・地域密着型通所介護)の経営が悪化し、赤字そして閉鎖・廃業に至る原因と対策について見ていきましょう。

介護職員・看護職員等の確保が困難

デイサービスでは、人員基準に定められる「管理者」、「生活相談員」、「看護職員」、「介護職員」、「機能訓練指導員」等の従業員を配置しなくてはいけません。介護業界では、介護職員・看護職員の人材不足から人員基準に定められる人数の従業員を確保できないことがあります。
従業員が不足したことによって利用者を増やすことができず、収入が不足していたり、人材を確保するために、人件費アップ、求人広告・人材紹介などの利用によって経費が増えたりすることで、経営状況が悪化します。
デイサービスの主たる収入である介護報酬は、単価を国が定めているため、経費が増えても価格転嫁することができないことも要因のひとつになっています。
対策としては、収入と人件費のバランスを考え、かつ、応募者が「この事業所で働きたい!」と感じる待遇を設定するために、給与体系・給与規程の変更等を行いましょう。

稼働率・利用率が低い

デイサービスは、利用者と契約し、サービスを提供することで収入を得るビジネスです。
「利用者数が少ない」、「サービスの利用をやめる利用者が多い」、「営業しても利用者数が増やせない」といったことから、目標とする稼働率(利用率)を達成できないことも経営状況が悪化する原因のひとつとして挙げられます。
居宅介護支援事業所と関係性が構築できていない、近隣に競合となるデイサービスが多い、自事業所の強みをアピールできていない、利用者が求めているサービスを提供できていないなどの理由から利用者獲得に失敗しているケースが多いようです。
また、新型コロナウイルス感染症のまん延によって、利用の中止や利用者が心理的に利用を控えることもあり、稼働率が下がってしまうケースも発生しています。
対策としては、目標とする稼働率を達成するために「何を」「どれくらい」実施しなくてはいけないのかを可視化することが挙げられます。

加算を算定できていない

デイサービスの介護報酬は、定員・サービスの利用時間・要介護度に応じて設定される基本報酬に、事業所の取り組みや体制等に応じて報酬を上乗せできる「加算」という報酬体系になっています。
この加算を算定することで、利用者1人あたりの単価が上がることになりますが、加算を算定するための取り組み・人員配置・体制構築ができない場合、収入が確保できず、経営状況が悪化することがあります。
対策としては、加算の算定要件を理解し、加算を算定するために必要となる取り組みや人員配置にどれくらいの費用が必要になるかを計算して、収支にプラスの影響がある加算を積極的に算定することが挙げられます。

物価の高騰

デイサービスでは、基本的な介護サービスに加えて入浴サービスや食事などを提供していることが多いです。
昨今では、社会情勢の変化から電気料金、ガス料金、食材や消耗品などの価格が高騰し、経費が増えていることから経営状況が悪化していることがあります。
対策としては、同様の品質でより安価な商品・購入先がないかを探すことや、消耗品の使用を減らすことでコストダウンに取り組むことが挙げられます。

デイサービスの閉鎖・廃業の手順・手続き

デイサービス(通所介護・地域密着型通所介護)を閉鎖・廃業するまでのおおまかな流れは以下のようになります。
※指定権者によって手続きが異なりますので、実際に手続きをする際は、事業所の指定権者へお問い合わせください。

  • ①指定権者への相談
  • ②従業員へ報告・異動の連絡
  • ③利用者・ケアマネジャーへの連絡
  • ④指定権者への書類提出
  • ⑤従業員の異動の調整、退職手続き
  • ⑥事業所廃止

1.指定権者への相談

デイサービスを廃業する時には、指定権者(都道府県・市町村)へ廃業の届出(廃止・休止届出書)を提出しなくてはいけません。
そのため、廃業を考えている場合は、まず指定権者に相談することになります。

2.従業員へ報告・異動の連絡

閉鎖のスケジュールが具体的に決まったら、従業員に閉鎖の具体的なスケジュールとそれに係る業務を伝え、従業員の異動の予定を連絡したり、離職等の意向を確認したりします。

3.利用者・ケアマネジャーへの連絡

閉鎖について利用者・ご家族、ケアマネジャーへの連絡・周知を行います。利用者が希望する介護サービスを受けて、生活を継続できるようにケアマネジャーに協力します。

4.指定権者への書類提出

廃止にあたり指定権者へ提出する書類と期限等は以下のようになっています。

  • 提出する書類:廃止・休止届出書
  • 提出期限:廃止の日の1ヵ月前まで

例:横浜市で地域密着型通所介護を廃止する場合の提出書類

横浜市では、健康福祉局介護事業指導課運営支援係宛に、返信用封筒を同封の上、廃止の日の1ヵ月前までに以下の書類を提出することになります。
【廃止の手続きの提出書類】

  • 廃止(休止、再開)届出書
  • 廃止(休止、再開)届出管理票
  • 指定通知書(原本。指定通知書に複数サービス記載されており、その一部のみ廃止の場合は、通知書のコピー。)
  • 老人デイサービスセンター等廃止(休止)届出書

5.従業員の異動の調整、退職手続き

廃止するデイサービス以外の事業所を運営している場合は、従業員の異動等の調整を行います。他に事業を行っていない場合や廃止に合わせて退職を希望する従業員がいる場合には、退職に関する手続きを行います。

6.事業所廃止

廃止予定日になり、事業の廃止・廃業となります。
直前までサービス提供を行っていた場合は、廃止日以降にも請求業務や精算に関わる業務が発生します。

閉鎖・廃業ではなく、M&A(事業売却)という選択を!

デイサービスの運営を続けることが難しく、閉鎖や廃業を考えているようでしたら、法人・事業を売却(M&A)するという選択肢もあります。
M&Aを行うことで、借入金の精算や創業者利益の確保だけでなく、従業員の雇用継続、利用者のサービス利用の継続といったメリットがあります。
カイポケM&Aは、無料で売却適正価格の査定を行うことができ、介護事業の強力なネットワークを使い、皆様の希望する条件でのマッチングを行っております。
M&Aについて興味をお持ちでしたら、ぜひ『カイポケM&A』にご相談ください。

まとめ

デイサービスの赤字・経営悪化の原因と対策、そして運営が難しいと感じた場合の『M&Aという選択肢』について詳しく説明しました。
M&Aは、借入金や創業者利益の確保だけでなく、皆様が立ち上げ、大切に運営してきた会社を存続させることができ、利用者と従業員を守ることにも繋がっています。
この記事をお読みいただいてM&Aに興味をお持ちいただいた方は、ぜひお問い合わせください。

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