有料老人ホームとは、食事の提供や介護の提供、家事の供与、健康管理などを行っている施設です。
有料老人ホームの施設数は増加傾向にあり、厚生労働省の「令和3年社会福祉施設等調査」によると、令和3年10月1日時点では、16,724施設(サービス付き高齢者向け住宅以外)が運営されています。
このように施設の整備が進められていますが、そのなかには経営状況が難しく、赤字になってしまい、廃業・閉鎖に至ってしまうケースもあります。
この記事では、有料老人ホームが赤字になる原因と対策、廃業する場合の一連の流れ、廃業以外の選択肢について詳しく説明しますので、ぜひご一読ください。
東京商工リサーチの「2022年老人福祉・介護事業の倒産状況」によると、2022年の介護事業者の倒産件数は過去最多となっています。これは、新型コロナウイルス感染症のまん延、コスト高の影響が大きいとされています。
※東京商工リサーチから画像引用
有料老人ホームが赤字になってしまうのは、収入と支出のバランスが取れていないということになります。これは、「予定していた収入が確保できていない」または「コストの増加などで予定よりも支出が多くなっている」、もしくはその両方が起きてしまっている状況です。
ここでは、有料老人ホームが赤字になっている原因と対策について詳しく見ていきましょう。
有料老人ホームでは、家賃、食費、サービス料などが主な収入となっているため、新規入居者を確保できないと収入を確保できず、赤字になってしまいます。
「開設当初は安定して入居者を確保できていたが、今、空室がでるとなかなか埋まらない」という施設は多いでしょう。
このような場合は、「なぜ選ばれないのか?」という原因を調査し、対策を取ることが必要です。
例えば、「近隣に競合となる有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅ができた」、「対応できる状態、サービス内容が不足している」、「他の有料老人ホームの方が料金が安い」などの原因が考えられ、それらに対して「サービスの質の向上」、「料金体系を見直す」、「老人ホームの紹介サービスを利用する」といった対策が挙げられます。
有料老人ホームでは、様々なサービスを提供し、収入を得ています。入居者を確保していてもサービスの利用が少ない場合は、単価が低くなってしまい、予定している収入金額を確保できないケースがあります。
対策としては、サービスの利用が増えるように「サービスの内容」や「サービスの料金」、「料金体系」などを見直すのが良いでしょう。
有料老人ホームのスタッフである介護職員・看護職員などは、人材不足が社会問題になっていることから、採用が困難な状況となっています。
離職を防止するために待遇の改善を行ったり、新規採用を行うために給与の設定金額を上げたりすることで、施設全体の人件費が高騰し、経営状況の悪化・赤字に至ってしまうケースがあります。
対策としては、「スタッフに長く働いてもらえるような給与体系・職場環境を構築すること」で採用や育成に係る費用を抑えるといった取り組みが挙げられます。
新型コロナウイルス感染症のまん延、光熱費・物価の高騰などが影響して、赤字が続いてしまった施設は多いでしょう。そして赤字が続き、廃業・倒産に至る際は、「運転資金の不足」が起き、支払いができない状況になります。
対策としては、国・地方自治体等が実施する助成金等を活用すること、金融機関から運転資金の借入等を行える関係性を構築しておくことが挙げられます。
ここでは有料老人ホームを廃業する場合の流れを説明します。
おおまかな流れは以下のようになります。
有料老人ホームを廃業する時には、所轄官庁へ廃業の届出を提出しなくてはいけません。
そのため、廃業を考えている場合は、まず所轄官庁に相談することになります。
閉鎖のスケジュールが具体的に決まったら、従業員に閉鎖の具体的なスケジュールとそれに係る業務を伝え、従業員の異動の予定を連絡したり、離職等の意向を確認したりします。
入居者・そのご家族へ廃業のスケジュール等について連絡を行います。入居者が希望する生活を継続することができるように、転居先の調整や入居一時金・敷金の返還などについての対応方針なども伝え、同意を得ましょう。
ここでは東京都を例に説明します。
東京都では、以下のような書類を「廃止の日の1ヶ月前まで」に提出することになっています。
原則として、入居者の転居先を探すための支援を行います。現在利用している介護サービス、医療機関等も勘案して調整することになります。
従業員の意向に沿った対応をすることが前提となりますが、他の事業を行っている場合は配置転換や、廃業する日に退職を希望する場合は、退職に関する手続きを行う必要があります。
赤字が回復する見込みもなく、事業を継続することが難しく廃業や閉鎖を考えたときには、法人・事業の売却(M&A)をするという選択肢もあります。M&Aでは、従業員の雇用継続、入居者への負担軽減、経営者にとって財務面や今後の仕事など様々なメリットが挙げられます。
M&Aの過程では、自社情報の整理や資料の作成、買収企業へのアプローチ、面談、契約など手続きが多いため、事業を運営しながら準備するのはとても大変です。介護・福祉事業に対する理解があるM&Aサービスを活用することをおすすめします。
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様々な理由により、赤字が継続してしまい、有料老人ホームの運営が難しいと感じることがあるでしょう。
M&Aは、皆様が立ち上げ、大切に運営していきた施設・会社を存続することができるので、入居者と従業員を守ることにつながっています。
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